3-8
莉奈が達する姿を見て、今度はこちらの身体が限界ギリギリになっていた。
「はあっ……はあ……」
「莉奈……気持ちよかったか?」
「……っ」
我に返ったらしい彼女は俺から目を逸らし、下唇を噛んでいる。
そう言う仕草の一つ一つすら、いちいち愛おしい。
「恥ずかしがるなよ、すげぇエロくて、すげぇそそられた」
「……バカ」
むくれて口を尖らせる莉奈の額に自分のそれをコツンとぶつけ、フッと笑う。
「莉奈があまりにエッチな顔と声で俺を煽るからさ、もう限界なんですけど」
キスをしてから耳元で囁くと、
「……あたしだって早く欲しいよ」
と消え入りそうな声。
あーたまんねぇ。
「んじゃそろそろ挿れていい?」
耳たぶを甘噛みしてからそう言うと、彼女はまだ弾む息をなんとか整えながら、
「……早く挿れて……」
とぎこちなくそう言ってくれた。
「あんっ、あんっ、あんっ」
古いベッドは、彼女を突き上げる度にギシギシ鳴っている。
シーツは莉奈の体液ですっかり湿ってしまったが、構わず俺達は繋がりながら夢中でキスを交わしていた。
「あんっ、んっ……ふぁ」
絡む舌でお互いの口周りまで汚してしまっても、もう止められない。
莉奈の首筋や乳房に赤い印をつけたり、彼女は俺の背中に爪を立てたり、きっとそれは獣のように交わり合っていたように見えただろう。
確かに今の俺達は、快楽を貪り合うことに必死で、それ以外のことなんて考えてなかったのだ。
夢威叶のことも俺の仕事のことも、大切だってわかっていながら、この刹那的な快楽に溺れてしまった俺達は、どうしようもなく愚かだった。
それでも込み上げる感情はどうにもごまかしがきかなくて、いつまでもこのままドロドロに溶け合っていたかった。