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サンタ・カンパニー
【ファンタジー 官能小説】

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「素敵なプレゼント、ありがと、サンタさん」


ゆっくり立ち上がった莉奈は、夢威叶の手をしっかり握って頭を下げた。


俺は、何もしていない。


だけど、コイツらの夢を壊さない為に、俺はただ微笑んで見せた。


「ママ、手、痛いよ」


痛みで顔を歪める夢威叶に笑いが込み上げてくる。


その手を離したくないからなあ。


俺と抱き合った時より、遥かに強く握っているであろうその手を見た俺は、


「じゃあ、俺は帰るから」


とだけ告げて、2人に背を向けて歩き出した。


こんな幸せいっぱいの2人に、サンタをクビになったなんて言えるはずがない。


もともと空想の世界で存在していたサンタクロース、いつかは夢威叶も莉奈も、見えなくなる日が来るかもしれない。


だから、ここはこのまま去った方がいいのだ。


踏み固められた雪の上をまた一歩、一歩踏み出していく。


すると、


「サンタさん! また、来年のクリスマスも来てくれるよね?」


と、莉奈の声が聞こえてきた。


「あたしも夢威叶も、ずっとずっと、サンタさんがクリスマスに来てくれるって、信じてるから!!」


クルリと振り返れば、ニコニコ顔の夢威叶と、どこか寂しそうに俺を見る莉奈。


なぜかアイツらを見てると、鼻がツーンと痛くなる。


そんな2人に向かって、


「おう、待ってろよ」


と大きく手を振った。


来年のクリスマスどころか、明日のことすらどうなるかわからない俺だけど。


奇跡を起こしたあの2人が俺の存在を信じてくれている限り、きっとまた、クリスマスに奇跡は起こる。


いや、奇跡は起こしてやる。


なんてったって、俺はサンタクロースなんだから。


じっとこちらを見るアイツらに向かって、


「また、来年な!!」


と叫んでから、俺は走り出していた。


〜end〜





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