3-4
「莉奈……ここ触られるのは嫌か?」
不安になって彼女の顔を見れば、恥ずかしそうに下唇を噛んでいる。
「胸……小さいから、あまり触られたくない……。夢威叶におっぱいあげてたら小ちゃくなっちゃったから……」
「何だ、そんなこと」
安堵した俺は、莉奈の頭を撫でてから頬にキスをする。
「一生懸命夢威叶くんを育てた証じゃねぇか。胸張れよ。莉奈は立派なお母さんだよ」
「……っ」
「ほーら、また泣く」
キュッと下唇を噛んで堪えているつもりらしいが、それでも涙が勝手に滲んでくる彼女が愛おしくて、目を細めて親指で涙を拭う。
「だって……!」
「お前、自己否定し過ぎてるけど、いいお母さんだよ。俺の姿ってさ、サンタを純粋に信じている人間にしか見えないんだ。そして俺達は純粋にサンタを信じる子供にしかプレゼントを届けない。今回は届け損なったけど、ちゃんと夢威叶くん宛のプレゼントがあるってことは、夢威叶くんは純粋に信じてくれてるってことだろ?」
「…………」
「きっと夢威叶くんは心の綺麗な子なんだと思う。そう育てたのは莉奈なんだ。だからお前は立派なお母さんだ」
「サンタさん……」
「そして、お前の心が綺麗だってのも、俺の姿が見えることが何よりの証拠だ。莉奈、お前はいい母親で、そしていい女だよ」
またしても瞳から涙が溢れてきたので、そこに唇を這わせてやる。
潤んだ瞳で健気に笑ってみせる彼女に、今しか側にいてやれないことをもどかしく思いながら、俺はクスッと笑って見せた。