3-3
サンタ・カンパニーじゃ業務成績トップクラスだった俺。
仕事は完璧にこなす俺が、まさかこれからクビ同然の行いをしようとしているなんて。
それでも不思議と後悔の念にとらわれることなんてなかった。
今、俺の腕の中に抱かれている莉奈を見て、むしろこうしない方が後悔をしてしまうと思えるほど。
きっと、俺はコイツをいつの間にか好きになっていたのかもしれない。
「ん……」
掃除が行き届かなかった寝室は、やはり脱ぎ散らかした服やグシャグシャになった毛布なんかで散らかっていたが、関係なかった。
夢威叶と一緒に寝ていたであろうダブルベッドには、男と女が抱き合っているだけ。
そこで俺は、溢れる気持ちをぶつけるように、何度も莉奈にキスをしていた。
彼女に覆い被さる俺は、彼女の小さな手をキュッと握り締める。
本当は、夢威叶と手を繋ぎたかっただろう。
ゴメンな、小さな可愛らしい手じゃなくて、こんなむさ苦しい男の手で。
ひとりぼっちになってしまう莉奈を思うと、胸が苦しくて、そしてたまらなく込み上げてくる愛おしさに目の奥がジワリと沁みた。
「んっ、ん……」
髪を撫でると指にシャンプーの香りが移る。
キスをすると、そのカサついた唇が互いの唾液で湿り気を帯びる。
俺の指が、彼女の身体に触れるたびに微かに高い声がする。
今はその後のことなんて何も考えられなかった。
それをお互いわかっていたように、俺達は何度も見つめ合ってはキスを繰り返し、そしてじわじわと広がっていく快楽の渦に飲み込まれていった。
「ああっ……あん」
耳たぶを軽く噛んでから、唇を首筋に沿って少しずつ身体の下の方へ移動すると、彼女の声が少しずつ大きくなっていく。
その声に自然と生唾を飲み込んでしまい、気持ちがどんどん昂ぶっていく。
莉奈の肌の上を這い回っていた手が、小さな膨らみを捉えると、彼女は「やっ……」と小さく抵抗した。