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【SM 官能小説】

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宴 〜絆〜-4

そして、放課後。
「……驚いたな……」
苦笑混じりの驚きが、部屋の中に響いた。
「草薙さんのご主人様が、草薙先輩とはね」
芳樹の言葉に、智佳は顔を伏せる。
−ファッションホテルに部屋を取り、四人は顔合わせをしていた。
胤真と智佳はベッドへ並んで座り、芳樹はソファに座っている。
その脇の床に座るのは芳樹よりいくつか年下の、あどけない顔立ちをした少女だった。
「ああ、失礼。僕の肉奴隷を紹介します」
芳樹は少女にかけた犬用の首輪とリードを引っ張り、苦痛の声を上げさせる。
制服姿なのが、やけになまめかしい。
「こいつが僕の性欲処理用の牝犬、瓜生真矢(うりゅう まや)。僕の妹です」
「いもっ……!?」
智佳は鼻白んだ。
「別におかしくはないだろ?そっちだって、再従兄弟がご主人様なんだから」
智佳は胤真を見上げ……口をつぐむ。
胤真の目付きが、険しい。
同好者と言われて会う気にはなったものの、芳樹の事はあまり気に入らなかったようだ。
「草薙先輩には少々近付きにくかったんですが……同好の士と分かった以上、懇意にしておきたいものですね」
友好的な芳樹の微笑みを……胤真はとりあえず受け入れる。
「調教方針に相違があるが、な」
「そうですかぁ?」
そらっとぼけた口調で芳樹は言い、再びリードを引っ張った。
「ぐうう……」
瓜生真矢が、呻き声を上げる。
「さ、真矢。まずはお前のオナニーショーだ」
「ぅぐ……」
芳樹の命令に真矢はうなずき、ソファの上に這い上がった。
「草薙先輩と草薙さんも、よければプレイして下さいよ。せっかく部屋が広いんですしね」
真矢が制服を脱ぎ出す。
胸の膨らみも腰のくびれも尻のふくよかさも、まだまだこれからに期待できるボディ。
真矢はそれを、お揃いの水色と白のストライプが入ったブラジャーとショーツで包んでいた。
「か……胤真」
恐る恐る、智佳は話しかける。
「……ん?」
「ごめん、ばれちゃって……」
謝られた胤真は、ため息をついた。
「今度から、バイブプレイは控えような」
そう答え、胤真は智佳にキスする。
ホテルへ入る前に、胤真はばれた経緯を聞かされていた。
「んっ……」
甘く優しいキスの後に襲ってくる快楽責めを考えて、智佳は秘裂をきゅんと締める。
「ところで先輩」
目の前で繰り広げられる実妹の自慰行為を鑑賞しながら、芳樹は尋ねた。
「草薙さんの調教は、どこまで進んでますか?」
「……聞く必要があるのか?」
胤真の答は冷たい。
「僕の真矢は命令を下せば、何でもしますよ。死ねと言われたら何の迷いもなく命を断つほどにね」
自信たっぷりに、芳樹は言う。
−胤真を、挑発していた。
「残念だ。そういう調教は、俺の好みじゃない」
ひらひらと手を振り、胤真は言う。
「抱く時の心地良さを期待して、俺は智佳を調教している。死ねと言われてあっさりと死ぬ女には、意味も用もない」
胤真は智佳を抱き、唇を吸った。
「ん、んっん……!」
眉間に皺を寄せ、智佳が甘い声を上げる。
全く相手にしていない胤真の態度に、芳樹は頬を引きつらせた。
思わず、唇をぎゅっと噛み締める。
−芳樹にとって、胤真は憧れの先輩だった。
すらっとした長身に、均整のとれたスタイル。
嫌みのない、爽やかさを感じさせる美貌。
常に学年で三位以内の成績と、イベントで見せるスポーツの万能ぶり。
友人知人の層の厚さや彼らから寄せられる信頼。
全て、芳樹が手に入れたいと望むものだった。
それに、智佳。
肉奴隷とするにはお誂え向きな体を持つ智佳を、芳樹はひそかに狙っていた。
今日だって智佳以外の女が具合悪そうにしていたら、保健室へ連れていこうとすらしなかっただろう。
だが、現実は。
指戯でじっくりといたぶられ、とろんとした目付きで胤真に体を預けている智佳がいる。
胤真は苦痛を感じる一歩手前くらいのところで力を加減しているらしく、智佳は快感と痛みとをないまぜにした絶妙の表情を浮かべていた。
「んぅ、ふ、はああっ……お兄、様?」
淫唇をいじくり回してオナニーにふけっていた真矢は、兄の視線がいつの間にか胤真と智佳を凝視し、自分を一顧だにしない事に気が付いた。
「……お兄様」
真矢は悲しげに目を伏せる。
自らの欲望のために真矢の処女を奪い、調教を施した憎い男。
なのに、今の真矢は芳樹を一人の男として見ていた。


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