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【SM 官能小説】

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宴 〜狂艶〜-1

学校の図書室で、胤真は教科書とノートを広げていた。
端からは、静かな環境を利用して受験勉強の真っ最中という風に見える。
「胤真様、何だか物憂げね……」
「でも、そこが素敵よねえ……」
女子生徒のひそひそ声をよそに、胤真はノートへ何かを書き付けていた。
その頭の中は勉強ではなく、どうやって智佳を屈服させるかというプランで一杯である。
実行可能なプランを選抜し、選択し……。
やがて、計画が出来上がった。
「よし!」
会心の微笑みを浮かべた胤真を見て、女子生徒が再び囁く。
「よほど難しい課題に挑戦されてらしたのね……」
「笑顔が素敵……」
何も知らないとは、幸運なのであった。


『急用ができた。先に屋敷へ行って準備を済ませておくように』
携帯に入ったメールを読んで、智佳は大きなため息をついた。
「まだか……」
毎日あれだけ人の体を楽しんでおいて、まだ足りないのだろうか。
そう思うが、やはり自分にも責められる落ち度があるだろう。
例えば、胤真の命令を断ってみるとか?
頭の中でシミュレーションしてみて……智佳は鼻で笑った。
もしそんな事をすれば、間違いなく胤真は智佳の卑猥な写真をモザイクなどの目隠しなしでばらまく。
それではこれから先の人生など、お先真っ暗どころの話ではない。
では……『私は胤真に脅されている!!』と声を大にして言うか?
そんなもの胤真を直接知る者は『あの品行方正折り目正しい奴が、脅迫なんかするわけない。お前の嘘だろ』とあしらい、知らない者でも『草薙家のお坊ちゃまが?誰よ、そんな出まかせ言うのは』となるだろう。
どうあがいたところで、胤真の手中から逃げ出すには力不足だ。
それに……。
智佳は、軽く唇を噛む。
自分の胸に聞いてみれば……心底逃げ出したいとは、あまり考えていない。
無理矢理やらされた浣腸や失禁・脱糞といった一連の異常行為を除けば、胤真は他のどんな男よりも優しく繊細に自分を扱ってくれている。
特にここ最近−アナルバージンを奪った前後からは、智佳が本気で嫌がるそれらの行為は控えている節がある。
ビザールを身に纏わせたりスカーフやロープを使っての目隠しや拘束、様々な器具使用など、比較的智佳が受け入れやすいプレイには遠慮がないが。
「……どういうつもりなんだか……?」
悩んでも仕方ないので、智佳は草薙本家へ行った。
「あら、智佳さん」
草薙本家に勤める家政婦の中では比較的智佳と仲の良い女性が、玄関で迎え入れてくれる。
「胤真から呼び出し食らっちゃって。先に行ってろと言われましたから、ちょっとお邪魔しますね」
女性が微笑んだ。
「それはもう。あ、後でお茶でも……」
「あ、お構いなく」
すかさず、智佳は言う。
お茶というとどうしてもあの薬を塗られた茶碗を思い出すので、最近は全く飲めないのだ。
「そうだ、胤真が帰って来たら言うと思いますけど……」
「ああ、はい。誰も近付くな……ですね?」
「ええ。それじゃ、上がらさせてもらいます」


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