宴 〜肛虐〜-4
トロッ……
粘度の高い液体が、舌を伝って胤真の口内に流れ込んで来た。
−至上の甘露。
胤真は溢れ出た液体を、一滴もこぼさず啜り取る。
「やっ、ん……んん、はっ……!」
乳首をいじられた時とは明らかに違う感覚に、智佳は身悶えした。
胤真の舌が、吐息が、擦り付けられる鼻が。
あらゆる刺激が、智佳を翻弄する。
「あっ……胤真っ、胤真っあっ……!」
ぴくぴくと震える秘部を、胤真の舌が思う様縦横無尽に駆けずり回った。
「胤真っ……」
切なげな囁きが、智佳の限界を知らせる。
「智佳……入れたい」
「……ん」
智佳の足を抱え、胤真はいよいよその体勢に移った。
「胤真……」
「智佳……」
胤真は偶然にも一発で、少し窪んでいて胤真自身が入って行けそうな場所を探り当てる。
ぐいっ
入りそうになった亀頭が、妙に強い抵抗を受けた。
「処女膜……だよな?」
「たぶん……」
リトライするが、うまく行かない。
そのうち、外の方で誰かが歩き回る音がし始めた。
「げっ!見回りか!?」
せっかく築き上げたムードもどこへやら、二人は慌てて脱いだ服を身に着ける。
ザリザリという足音をやり過ごす頃には、二人とも気分がどこかに吹っ飛んでしまっていた……。
−以上が一つ目の、胤真が握る智佳の弱みである。
胤真自身も弱みに加担しているが、これは当人が恥とは思っていないので胤真の弱みとはならない。
二つ目は、これから二ほど後の事。
けっこうな美人としてご近所でも有名だった智佳には、早くも彼氏ができていた。
だがこの彼氏は多少理性の抜けている奴で、『大人のお付き合いは高校生になってから』という付き合い始めの頃からの約束を破って、ある日智佳の部屋でスケベな事を仕掛けてきたのだ。
最初は智佳も嫌がったが、その内に不快感よりも快感が勝り始めて結局彼氏に身を預けた。
そして……処女を彼氏に破られたのである。
ここでウツクシク話が終われば良かったのだが、そうは問屋が卸さない。
この事を知らない胤真が草薙家に遊びに来て、二人が全裸で繋がっているという衝撃的なシーンに出食わした。
−これが、胤真が握る智佳の二つ目の弱みだ。
少々長かったが、以上二つの弱みをもって胤真は智佳を支配しようとしている。
一方の智佳はこの初めての彼氏との仲を胤真に引き裂かれた怨みと胤真が本当は裏表のある二重人格者だという暴露ネタをもって、胤真の支配から逃れようとしているのだ。
「っとに……畜生め!」
頭から熱いシャワーを浴びつつ、胤真は苛立だたしげにポキポキと指を鳴らしていた。
青年に近付いた今の肉体は堅い筋肉と、ごく薄い脂肪とで構成されている。
服を着ていればごく普通の少年に見える体だが、一度服を脱げば腹筋の割れた、なかなかに筋骨の逞しい体付きをしていた。
−結局、いつも怒気混じりに言い合って喧嘩別れしてしまう。
十年に及ぶ付き合いの中で穏便にさようならと言い合った事など、たぶん両手の指より僅かに足りない程度しかないのではないだろうか?
「……」
おもむろに胤真はシャワーを強くし、肉棒を自らの手でしごき始めた。
「っ……」
胤真はたちまちのうちにへそへくっつきそうなほどに反り返り、先端を先走りで濡らし始める。
「あっ、お、はあ……」
胤真は、自慰行為に没頭した。
「……智佳……とも……か、智佳……!」
名を呼びながら、胤真はしごく手を速める。
気が付けば、目はいつも智佳を探していた。
視線が合えば、逸らすか睨むか……例え、そんな反応しか返してくれなくても。
こんな浅ましい自慰行為で、妄想で再従姉妹を犯す事しかできなくても。
−妄想の中に巣食う歪んだ思いが、理性に勝りかけていても。
「ああ、そうか……」
射精直前でしごく手を止め、胤真はくつくつと笑った。
「……そうだよな……いつも守って、嫉妬して……ふふふっ……何をためらう事があるってんだ?」
どこか自虐的な笑みを浮かべたままで、胤真は再び自身をしごき始める。
「智佳……!」
次の瞬間、胤真は壁に向かって精を叩き付けていた。
どろりとした濃い液体を見て、胤真は苦笑いする。
智佳の事を考えながら自慰行為に走ると、常に信じられないほど濃くて大量の精液が放出された。
「ふ、ふふふ……」