第四章 たおる-4
テツヤはスマホを少し操作し、俺に投げてよこした。
「何だ…。ああ、俺が入社二年目に設計した管球式パワーアンプじゃないか、r3177−PSXシリーズの。これがどうした?」
「取引価格を見てみろ。右下の方だ。」
「えーっと、12000…1万2千円か。新品の売値が十五万ぐらいだって社長が言ってたから、まあこんなもんか、中古だからな。ホントはもっと安くしたかったんだけどなあ。あんまり数が出ないからしょうがないんだってさ。」
姉さんが画面を見て目を見開いている。
「あれ、どうしたの?」
やれやれ、といった表情でテツヤが言った。
「教えてやって下さいよ、瑠璃花さん。」
「何?何だよ?」
「ユウキ、よく見て。単位が千円よ。」
確かに。12000千円と書いてある。
「で?」
「オマエなあ…。1万2千掛ける千はいくらだ。」
「ゼロ三つ足せばいいんだろ。十万、百万、千万…」
「一千二百万だ。しかも、二つセットでステレオを構成する独立一系統アンプだから、さらに掛ける2で、二千四百万。」
「え、ええ!何でそんな値段になっちゃうんだ?」
「オマエの作品はどれも世界中で評価が高いんだよ、マニアだけでなくトップクラスのプロにもな。特にこのr3177−PSXシリーズは、独特の活き活きとした暖かい音でファンに人気があるんだ。」
うわあ、本人の知らないところでえらいことになってたんだなあ。
「だとしてもだな、もう出ちゃった商品に俺の動画なんか関係ないだろ。」
「オマエほんとに分かってないな。上級の芸術家ほどささいな外部情報で目や耳に影響を受けやすいんだよ、繊細であるがゆえに。自分の愛してやまないオーディオ機器の作者が実の姉とエッチしてるなんて知ったら、オマエは正当な評価を失う。死ぬんだよ、オーディオ機器製作者としては。」
姉さんはしっかりと握っていたタオルを再び床に落とした。
「分かったわ、テツヤ君。私を好きにして。」
テツヤの方に、大きく張り出したしっとりと白い尻を向けようとした。
「やめろ!姉さん、やめてくれ!」
「瑠璃花さん、続けて。」
「やめろって!そんなことしたら全部見えちゃうじゃないか。その素敵なお尻の間にある何もかもが。」
「そうさ、見せてもらうんだよ、全てを。俺の胸を焦がし続けてきた人のその部分を。」
俺たちが言い合いをしている間に姉さんは四つん這いになり、テツヤに尻を向け、それを高く上げた。
「どう?見える?ちゃんと見えてる?テツヤ君。これが私よ。」
「姉さん…。」
「ああ、見えてますよ、瑠璃花さんの全てが。秘めやかにキュっと口をすぼめた小さな花びら、潤いに満ちた深い谷間には複雑に光が反射し、さらに奥へと進めば恥ずかし気に顔をのぞかせているピンクの蕾。そしてそれらを包み隠そうとして果たせないささやかな茂み。もっと近くで見せてください。」
テツヤは姉さんに近づいて跪き、顔を傾けながらその部分へと舌を伸ばした。
「姉さん、やめてくれ、俺のためにそんなことしないでよ。」
フ、と表情を緩めて姉さんが答えた。
「あなたの為だけじゃない。言ってくれたじゃないの、看護師としてのキャリアを壊さないでくれって。これは私自身の為でもあるの。さあ、テツヤ君、私のそこを好きにして…。」
俺は黙って見ているしかないのだろうか。
「瑠璃花さん、あなたの匂いが漂ってきていますよ。ああ、堪らない。もう…ガマン出来ない!」
テツヤは姉さんの股間にむしゃぶりついた。唇を擦りつけ、舌で舐め回し、お尻を掴んで力を込めて左右に開いた。
「う、うう…。」
姉さんは感じている。テツヤの後ろからの愛撫に反応し、悦びの声を漏らしている。
「ああ、はあぁ…。」
自分で腰をくねらせながら。
「瑠璃花さん、俺、俺、ずっとあなたが欲しかった。そして今、それがかなった。かなった…のに…。」
「どうしたの?テツヤ君。私はあなたのものよ。」
「違う、違うんですよ!」
テツヤは涙を浮かべ、姉さんから離れた。
「確かに俺は本気で瑠璃花さんが欲しい。だけど…瑠璃花さん、あなたは俺だけのものになってしまっていいんですか。コイツと、ユウキと結ばれたいんでしょう?だったら、拒否しなきゃ。俺なんか、拒否しなきゃ。どうして俺に犯されて快感を隠そうとしないんですか。」
姉さんは上体を起こし、そのままペタンと座った。
「それはね、あなたも大切な弟だからよ、テツヤ。」
「瑠璃花…お姉さん!そう呼んでもいいんですね?お姉さんと。」
「そうよ。二人とも私の可愛い弟。さあ、いらっしゃい、お姉さんのところへ。」
俺は姉さんに導かれるままに床に仰向けになった。そこに姉さんが跨り、位置を合わせた。その後ろからテツヤが姉さんを抱きしめ、小さな花びらへと狙いを定めた。
「さあ!」
「瑠璃花姉さん!」
「ああ、お姉さん。」
ズブリ、ズブズブ。二人同時に姉さんに入っていった。
「うう、くっ…。」
姉さんが苦悶の声を漏らした。
「大丈夫?」
「キツいんじゃ?」
「大丈夫よ。私を、姉の私を、弟のあなたたちのものにして!オンナとして抱きしめて!」
「分かったよ。」
「行くよ、お姉さん。」
俺たち二人はゆっくりと腰を動かし始めた。
「あ、ああ…。」
姉さんがそれに悦びの声で応えてくれた。
徐々に徐々に俺たちの動きが加速していく。姉さんも自ら腰を蠢かせ受け入れていく。
「ふんん!」
「はあぁ!」
「ああ、ああ、ああっ!」
一人の姉と二人の弟。結ばれることが許されない三人。結ばれてはならない姉と弟たち。してはならない。決してしてはならない行為。姉に弟が入り、姉はそれを快感として受け取り、悦びを隠さない。