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あの夏の日のひぐらし
【姉弟相姦 官能小説】

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第一章 さざなみ-1

 「生物のオスとしての究極の使命はメスとの生殖行為である!」
 いつものように俺の部屋になだれ込んできて当然の様に俺のベッドに転がりなんの躊躇もなく俺のノートPCにコレクションしたムフフな画像や動画を漁りながらもっともらしい事を言うが要するにエッチがしたいテツヤがお決まりのセリフを吐いたあと、急にボソっと呟いた。
 「彼女、欲しいな…。」
 俺は思わず顔を覗き込んでしまった。
 「おいどうしたテツヤ。今日はシリアスだな。」
 「シリアスにもなるさ。自分の左手以外とエッチしたの、いつ以来だと思ってるんだよ。」
 テツヤは手のひらをじっと見つめている。
 「いい加減、画面のこっち側に居る女の子と付き合いたいじゃないか。」
 珍しく現実を正面からみつめたテツヤに、俺は同意した。
 「だよな。俺もだよ、ご存知の通り。」
 彼は少しイヤな顔をした。
 「オマエにはあんなに綺麗なお姉さんが居るじゃないか。」
 「はあ?」
 確かにまあ、弟の俺が見ても最高にいいオンナだと思う。性格は穏やかで、知的かつ柔和な笑顔は誰をも魅了する。
 でも。
 「バカ言うな、姉だぞ、あーねー。」
 「だから何だよ。すんごく素敵な人じゃないか。付き合いたいと思ったこと有るだろ。」
 「無いよ。オマエ、俺の姉さんと付き合いたいのか?」
 はあー、っと長い溜息を吐き出しながらテツヤは答えた。
 「そうだなあ、オマエの義理の兄になるデメリットをガマン出来る程度には。」
 「それ、メチャクチャ本気じゃないか。」
 テツヤは、女にモテなそうな男、というわけではない。
 見た目についてはどの程度の評価を女子から受けているのか男の俺には分からないが、国内トップの大学を首席で卒業し、世界的に名を知られた自動車メーカーで先進技術開発部の若きエースとしてテレビで紹介されていたりもする、要するにエリートというやつだ。彼女なんか楽勝じゃないのかと思う時もあるが…。人格に少々難があるからなあ、コイツ。
 ちなみに俺は、県内で名を知られたどうしようもない高校をどうしようもない成績で仕方なく卒業させてもらい、薄暗くて居眠りし易そうだという理由で今の会社に入った。
 ごく一部のオーディオマニア向けの真空管式のアンプなんかを手作業で組み立てて売っているメーカーで、そんなことしてたらすぐ潰れるだろ、と思ってたら、最近のアナログブームに乗って意外なほど売り上げているらしい。
 そしたら社長のやつ、パーツまで手作りするって言いだして。設備投資で儲けは全部飛んじゃったよ、って部長がぼやいてた。部長と言っても社長の弟で、特に何もしないんだけど。
 というわけで、テツヤも俺もメーカー勤務なんだけど、随分違う世界に行ってしまったなあ。子供のころは俺がプラモデルや工作を教えてやってたのに。
 コンコン。
 「入るわよ。」
 ウワサをすれば姉。
 いつも通りのにこやかな表情を浮かべて、姉さんが飲み物とスナック菓子を持ってきてくれた。
 テツヤのやつ、ウワサ話の本人が急に現れて焦ったのか、俺のノートPCをひっくり返した。姉さんの視線が一瞬画面に飛んだが、何も言わなかった。
 「あ、どうも、おじゃましてます。」
 「いらっしゃい。いつもこの子と遊んでくれて、ありがとうね。」
 「いえいえ、こちらこそ遊んでくれてやってありがとうございます。」
 「何言ってるんだ、オマエ。意味分からんぞ。」
 「あいかわらず仲いいわね。」
 そう言って部屋から出ようとしている姉さんに、テツヤが声をかけた。
 「あ、あの、瑠璃花(るりか)さん。」
 姉は微笑んで振り返った。
 「なあに?」
 「瑠璃花さんて、実はコイツと血が繋がってないなんて可能性は…」
 「無いわよ。」
 「うわ、即答で否定されちゃった。」
 「っていうか。何訊いてるんだよ。」
 「いや、オマエと義理の…。」
 ああ、それか。
 「諦めろ。姉さんはお前にはやらん。」
 「父親かよ。」
 「あら、テツヤ君、私をお嫁にもらってくれるの?」
 「も、もらわれてくれ、くれ、いただ、け、け、けけけ、」
 「落ち着けテツヤ。社交辞令に決まってるだろ。」
 「…ですよね。」
 「そんなことないわよ。私、テツヤ君だったら…。」
 「え…。」
 「なんてねー!ふふ。」
 「ふふ、じゃないだろ。俺の友達君、ダウンしかかってるじゃないか。」
 「ごめんねー、テツヤ君。まあ、そろそろなんとかしなきゃいけない年齢になってきたのも事実なんだけどね。」
 姉は笑いながら去っていった。
 「…。」
 「すまん。」
 「いや。所詮高嶺の花なのさ。それに、オマエの実の姉だ。」
 「そうだよ、間違いなく実の姉さんだ。」
 「それさ、実は血がつながってない可能性は…」
 「無い。」
 「オマエも即答か。」
 「うん。ハッキリ分かってるんだよ、医学的に。」
 「…それ、聞いてもいい話?」
 「いいさ。機会がなかったからわざわざは言わなかっただけで、オマエにはむしろ話しておきたかったかも。」
 俺の父と母のDNAには一か所ずつ悪性の病因変異がある。どちらか一つだけ持っている限りは特に問題は無いのだが、両方を受け継いでしまうと100%致命的な症状となって発現してしまう。
 ただし、生後すぐに治療すれば、運が良ければ命は助かる可能性が少しだけあるらしい。
 「というわけで、妊娠中にDNAの検査を受けたんだ。」
 「なるほどね。そりゃあ間違いなく本当の姉弟(きょうだい)だな。」
 「そ。だから諦めろ、俺の実の義兄にならずに姉さんと結ばれるのは。」
 「実の義兄?」
 「だろ?」
 「まあ、そうだな。」
 どこまで本気か分からないが、彼は少し寂しそうだ。


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