@純子に接近-2
「ごめんね。純子さんにももっと強く奨めてあげるべきだったですね。」
「実は私もこっそり1000株だけ買ったのよ。でも売るタイミングがつかめずまだ持ったままよ。最初から君に任せるべきだったわね。」
「でも純子さんその株はもう上がる見込みはないから損しても売った方がいいですよ。
優しくして頂けるのならその内、僕が取り戻してあげますよ。」
「七菜、優しくするってどうすればいいの?まさかベッドの上でなんて言わないわよね。」
「純子、私がそんな事をしたら大変な時期だって分かっているでしょ。」
「そうよね、三日前のホテルのレストランでも明らかに興信所らしき人がいたもんね。」
「そうよ。剛志君は年増が好きで一緒に食事をするだけで喜んでくれるの。」
「七菜さんそれは違うよ。僕の好みはびっくりするほど美人の人妻さ。
周りの人が振り向いて僕の方を羨ましそうに見つめるくらいのね。」
「私でいいのなら明日、先日のワシントンホテルに来てくれない?ディナーをご馳走するわ。
それと田之上精機の株1000株君に任せるわ。今700円位まで下がっているけど。」
「分かりました。明日早速売って新しい投資先を探ってみます。
それと明日の食事は必ず行きます。おめかししてね。嬉しいな。」
以前ママ友同士の猥談でたしか夫は役立たずで二人のセフレがいるって言ってたな。
子供の家庭教師と会社の部下だったと記憶している。
しかし彼女と知り合ってからの印象ではそれはあり得ないと思うようになった。
彼女が自分の快楽のために部下や家庭教師に簡単に身体を開くような女ではないと思えるからだ。
そういえばあの日母もありもしないアヴァンチュールを話していたっけ。
ということはこの豊満に熟した肉体を毎晩持て余しているに違いない。
「純子さん来ましたよ。どうしたんですか。若返えっちゃてすっごく綺麗です。」
「もうお世辞はいいから座りなさいよ。ワインでいい?」
「飲む前に報告だけしておきます。あなたの田之上株1000株は720円で売却しました。
今夜のお礼に乾坤一擲優良株を見つけ、それにぶつけるつもりです。」
「わずか70万ばかりでそんなに気張らないでよ。単なるテストなんだから。」
「いえ、僕にとっては純子さんの傍に居れるかどうかの瀬戸際なんです。
またお食事に誘ってもらうためには何が何でも勝ちたい勝負なんです。」
「あらまあ、まるで関が原に向かう戦国武将みたいだわね。ふふふ。」
食事が終わるころには完全に打ち解けプライベートな話までしてくれた。
夫の事、子供の事、家庭の事、会社の事、少しづつ話してくれた。
でもその内容は差し障りの無い事ばかりで彼女の身持ちの堅さを再認識させられただけだ。
「それより剛志君よくモテるでしょ?若い子にしてはガツガツしていないもの。」
「駄目ですよ。モテる相手は人妻ばかりで恋愛や結婚の話は皆無です。」
「ええ〜人妻。その話ぜひ聞きたいわ。もしかして七菜も?」
「いえ。菊池さんは違います。彼女は身持ちの堅い貞節な奥様です。」
「あなた、なぜ人妻にモテるかわかっているの?」
「ええ。彼女たちそれなりの年齢に達していらっしゃるので肌を触れ合った相手には寛大で
若い子なら口に出来ないような恥ずかしい事でもはっきりとおっしゃいますよ。」
「あなた、彼女たちって何人もいるって事よね。」
「学生時代、一番多い時には10人いましたね。
そのうち9人が人妻で5人が友人のお母さんです。」
「嘘よ。人妻がそんなに簡単に落ちるわけないわ。私の友人たちにもそんな人は皆無よ。」
「それは純子さん達が恵まれているからです。
世の中には寂しい人生を送っていらっしゃる奥様方は意外と多いんですよ。
まず、夫に相手にされない。自分もどんどん年を取って美貌が失われていく。
その内、女として相手にされなくなるような気がして焦っているんです。」