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《見えない鎖》
【鬼畜 官能小説】

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〈微笑みの裏側〉-1




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一週間後の日曜日、花恋は孝明と再会した。

あの日の夕方電話で話した通り、兄弟はあれから接触を図ってこなかった。
それは孝明が確実に約束を守ってくれている、という誠実さの証拠だと花恋は感じたし、やはり信頼に足る人物だという確信を生んでいた。


『花恋ちゃん、久しぶりだね』


約束していたコンビニの裏手の駐車場に、シルバーの欧州製のステーションワゴンが滑るように入ってきた。
誰あろう、花恋が待っていた藤盛孝明である。

花恋は水色のTシャツの上に紫色の半袖のYシャツを羽織り、そしてジーンズを穿くというシンプルな格好をしている。
別に孝明は彼氏ではないのだし、着飾る理由は無いのだから。


『早く乗ってよ。彼氏とかに見られたら大変だよ?』

「そ、そうですね……アハハ…!」


英明という彼氏の存在までも花恋は教えていた。
自分がどんな目に遭い、どんな辛酸を舐めさせられているかを伝える時、思わず漏らしてしまっていたのだ。


『今日は外出しないでおこう。人目につくのはマズいしね』


ステーションワゴンは走りだし、市街地を駆け抜ける。
とは言っても、実際は信号待ちで発生した渋滞に嵌まってのノロノロ運転なのだが。


『花恋ちゃんの映像観させてもらったよ?凄く画面映りが良くてメチャメチャ可愛かった……あ、こんなの聞きたくないよね?』

「いや…あの……ハハハハ……」


そういえば孝明の職業は………。

未成年の女性を出演させた動画を販売するのは明らかに違法であり、これが警察に知られたら逮捕も免れない事を孝明はしている。

何故こんな男と親しくなり、同じ車内にいて会話までしているのか…?

つい数週間前までは想像だにしない今が不思議でもあり、だからこそ今の生活状況から脱しなければならなかった。


『花恋ちゃんてアイドルでも全然イケそうだよね?読モでもカリスマモデルになれそうだよ?』


中学一年生の時、花恋は芸能事務所にスカウトされ、アイドルとしてデビューしないかと持ち掛けられた。
あの時にスカウトの話に乗っていたなら、こんな目には遭っていなかったはず……忘れていた過去と後悔が頭を過り、花恋は唇をキュッと噤む……。


「……昔、一回だけスカウトされて……母の反対で辞めたんですけど……」

『え!?ちょっと凄いじゃないか。どこの事務所だい?』


孝明を信用しているからか、花恋は簡単に自分の過去を話していた。
先週の日曜日、思いきって孝明に打ち明けた事で事態の打開策を見出せたというのもあるが、やはり嘘をつくのが苦手という性格は、隠し事をするのも上手くなかったのかもしれない。



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