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《見えない鎖》
【鬼畜 官能小説】

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〈夢見る被写体〉-14

{やあ、花恋ちゃん。どう?大丈夫だった?}


開口一番に、孝明は花恋を気遣ってくれた。
その優しさにツン…と胸が痛くなり、その不思議な感覚に包まれながら、花恋はさっきの事を洗いざらい話す。
間違いなく、何らかの形で力になってくれるという思いがあったからだ。



{……そうか……作り物でも契約書を用意してれば良かったかな……ちょっと詰めが甘かったなあ……俺のせいでまた君に怖い思いさせちゃったね。ゴメンね}

「あ、謝らないでください……私がちゃんとした答えを言えなかったから……」


何の非もない孝明は、自分の方から謝ってきた。
英明とは違うものの、それに近い感情を孝明に抱いている事に、いま花恋は気づいた。


{今から裕太に電話して言い聞かせてやるから安心してよ。そうだ、今度の日曜って会える?アイツらの“悪巧み”にまた君が利用されないようにさ?}

「は…はい。私もそうしてくれたら安心です」


花恋は初めて休日のスケジュールを自分で決めた。
今度こそ孝明との《企み》を成功させたかったし、あの兄弟の魔の手から是が非でも逃れたかった。


『ただいま花恋。あら、何かあったの?』


気がつけば貴子が帰宅の路についており、涙ぐむ花恋を心配そうに見ている。


「ううん。ちょっとクシャミしたから…かな?」


適当に誤魔化した花恋は、貴子と二人で自宅へと歩いていった。
母娘を包み込む夕暮れは、青と赤と、そして灰色のコントラストを描いている。その初秋を迎えた物憂げな高い空には無数にトンボが飛び、その羽根はキラキラと輝いていた。
それらの光の反射は陽が沈む前に姿を現した、星の瞬きのようでもあった。


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