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不貞の代償
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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忘我3-3

 フワリと体が浮き上がった。
 いきなり岩井が立ち上がった。ソファーの上で貫かれ、そのままベッドに運ばれる特、この体位でセックスすることがある。腕を支柱のようにして体を支え、頭部をわしづかみ、片手でお尻をかかえ、軽々と抱き上げられた。
 鏡に奈津子の背を触れさせて、腰をひねる。
「はぅん……あふん……」
 怒り肩にあごをのせ、なすすべもなく、喘ぐことしかできない。空中で体が弾む。内臓を突き破るようにズンズンと突き上げられた。あまりの快感に、何度かお漏らししたこともある。
「い、いいッ」
 岩井の頭部を抱きしめ、快感を訴える。岩井がほおずりするのは珍しい。まるで愛情表現のようなほおずり。
「すごく、いい」
 オーガズムに導いて欲しい。そんな思いを込めて岩井の耳に熱い息を吐いた。
「亭主とワシのどちらがいい」
 かすれたような声がした。岩井の唇が耳たぶに触れた。セックスしながら、今までも何度かそんな質問をした。辱めるための質問なので、明確な答えなど求めていない。でも今の聞き方は先ほどと同様、本気で聞いているような気がした。
 薄情にもあれほど愛した田倉の記憶は薄れているけれど、夫のことは忘れられない。
「お前の本心が知りたい」
 腰を引き寄せられると、「先生が、いい」と、口から出た。現在の偽らざる気持ちだった。
 膣の中にみっちりと収まっているペニスが膨らんだ。
「ワシが……いいか」
 そうつぶやいて、首とお尻を抱えたまま、密着していた部分を引き離していく。そのまま、ひときわ勃起したペニスをズルズルと引き抜いていった。
 射精のためのセックスが始まる。
 そう思っていたが、カリの部分さえも、スポンを引き抜いてしまったのだ。
「いやぁ」
 体の一部が失われたような、もう二度と戻ってこないような喪失感を感じ、思わず声をあげた。「いや、いやッ」と、だだをこねるように、性器の数センチ先にあるペニスの先端を求めて腰を揺らした。
「欲しいのか」
「欲しいッ」即座に答えていた。
「どこに欲しい」
「ま、前にッ」
「前か……」
「奈津子の、性器にッ」
 こんな言葉を口走ったのは初めてだった。岩井の呼吸がやや荒くなったのが分かった。筋肉の体温が上昇していくのも感じていた。岩井は驚き、興奮しているのだ。
「目の前に夫がいても、夫の性器ではなく、ワシの性器を入れて欲しいのか」
「先生のが欲しいッ」
 夫が目の前にいても、今の望みは変わらないだろう。それほど岩井の体に溺れている。この体は、焦らされれば焦らされるほど、恨めしいほど岩井を欲しがる。
 櫓立ち(やぐらだち)、いわゆる駅弁スタイルでの結合を解き、ベッドに寝かせた。一旦結合が解かれると、激しい羞恥心が押し寄せる。
 驚くほど屹立しているペニスに視線を落とす。
 いつもなら、しゃぶらせてきれいにさせるのだが、岩井は束にしたティシューで、屹立しているペニスをぬぐった。
「よーく濡れる性器だ」といって、ティシューの箱を奈津子の目の前に置いた。
 羞恥で体が熱くなる。
「すぐに戻る」
 岩井は部屋から出ていくと、のろのろと起き上がり、脇に置いてあるティシューボックスを引き寄せた。恥ずかしいくらい濡れていた。ぬぐっても、奥からにじみ出る。
 体はまだ火照っていた。膣の中でペニスが膨らんだにもかかわらず、岩井はセックスを中断した。こんな中途半端な抱き方は初めてだった。それに口調が優しい。
 髪を直すのもけだるい。どうせまた乱れるのだからと、ふと、鏡を見ると、色情狂の女がこちらを見た。何という淫らな表情だろう。
 この狂おしいほどの肉欲を鎮めることができるのは、岩井しかいない。みだりがわしい性器の疼きを鎮めるのは、もう夫にはできない。
 ――いやらしいグチュグチュの生殖器で、ビンビンに勃起した岩井の生殖器を貪りたい。
 ふしだらな思いに耽っていると、岩井が部屋に戻ってきたので、呼吸がが荒くなった。身もだえするように体を抱き、恋情を抱く視線を岩井に送っていた。岩井はふんどし姿であった。ペニスは隠れているが、そこは未だ恐ろしいほど隆起している。
 岩井は奈津子の服を手に持っていた。
 服のままセックスすることは何度もあるが、脱がせたものを着せるということはなかった。
「下着も穿かせて抱きたい」
 常に有無をもいわせずに実行する岩井が、SMチックな言動を伝えるのは初めてだった。岩井の声が高揚している。
 横になっている奈津子にパンティを穿かせていく。大きな手が触れると全身に電流が走った。抱き起こされ、新しいワンピースを着せられる。服を着せられる行為がこんなに恥ずかしなんて思ってもいなかった。岩井の体臭に腰が砕けそうになる。
「触ってくれ」
 岩井から、あり得ない言葉。命令ではなく願望だ。
 手を取られ、股間に導かれる。手のひらでカチカチのペニスを握りしめていた。「おっきい……」愛撫し慣れたそれよりも、ひとまわり大きいような気がする。
 軽々と横抱きにされた。
「ソファーで、お前を」
 ソファーは、大鏡の向こう側の部屋にある。その大鏡を通して、こちら側を見ることができるのは知っている。マジックミラーになっているのだ。そこにビデオカメラが設置されているのも。
 まるで、花嫁を抱くようにドアに向かった。


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