責任-1
海老川優里が佐川健吾を運んで来たのはとある廃校になった小学校であった。もう長い間廃校状態であったこの小学校、放置されていた年数分だけの廃れ方をしていた。
その中で3年4組の教室だけは雰囲気が違う。机や黒板など殆ど他の教室と同じだが、窓ガラスやドアなどだけが真新しくなっていた。窓は全て開かなく施工されており、ガラスは強化ガラスが使われている。鍵もカードロック式だ。例えば中に監禁されたらそう簡単には外には出れない厳重な作りになっている。廊下側の壁は一面分厚いガラスが設置されている。廊下から教室は丸見え状態の異様な教室に見える。
教壇の上にはテレビ局が使うようなテレビカメラが設置されていた。その教室に海老川優里により佐川健吾が連れ込まれた。そして歩美に続いて覆面を被った多くの女性が続々と入って来る。
佐川はテレビカメラの前の机の椅子に座らされ体を縛られていた。その背後に海老川優里が立ち、さらにその背後に歩美と覆面を被った女性らがズラリと並んでいた。
「な、何のつもりだ!何なんだこれは!!」
「あなたは良くこう言う事して全国に放送してたじゃない。同じよ。これからサーガ日本國統一原理教の最後を全世界に配信するのよ。」
「何だと!?」
「それだけじゃないわね。私はこの世の中からレイプを闇に葬ろうとしてるの。女性を苦しめるレイパーの行く末を全世界に向けて披露してあげようと思って、ね。」
「くっ、調子に乗りやがって!」
そんな佐川を鼻で笑いながら優里は指示を出す。
「歩美、千城県警本部に電話して。今からYouTubeを使って佐川健吾処刑を生中継するってね。」
「分かったわ。」
それを合図として1人の信者がテレビカメラを操作し始めた。
「海老川優里からの伝言よ?今からYouTubeで私達不死蝶による佐川健吾公開処刑を行います。放送は5分後に開始します。この公開処刑をする事は各マスコミにも通達しておきます。じゃ、お楽しみに、ね?」
歩美は千城県警本部にそう伝えた。その後メンバーがマスコミに一斉にファックスを送信した。
「不死蝶から今から佐川健吾を公開処刑する映像をYouTubeで生放送すると電話がありました!」
「…まずいわ。海老川優里は佐川を殺害するつもりだわ。でも場所が分からない…。まずはその映像の中に何かヒントがないか探すしかないわね。いーい?いつでも出動出来るよう準備をしておいて!」
「了解です!」
不死蝶の犯行声明に警察はもちろんマスコミ各社も慌ただしく動き始めた。