〈二人だけの宝物〉-18
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『うちの店でもAV女優の握手会とかしてましてね?その時にジャンケン大会を開いて、賞品に生パンのプレゼントっていうのもやるんですよ』
輪姦に失神していた花恋は、ようやく気がついた。
まだテーブルの上に仰向けになっており、着衣の乱れもそのままだった。
『へぇ〜、白いパンティが一杯……なんか申し訳ないねえ』
『なあに、どうせ安物だ。それにたくさん“使う”んだろ?』
ぼんやりとした視界には、店長から大きな紙袋と茶封筒を受け取る裕太の姿があった。
あの紙袋には下着が。
そしてあの茶封筒には、恐らくお金が……。
あんなものを得る為の道具にさせられたのは明白だった。
『ところで花恋ちゃんはこれからデートか?あんな身体でも行くつもりかな?』
『ちょっと時間が過ぎたけど行くでしょうね。だって諦めきれないでしょ?』
なんの痛痒も感じずにいる畜人達は、やはり花恋の苦しみを分かっていない。
人生さえも捨て去り、何もかも《無》にしてしまうかも知れない自暴自棄に走りそうな瞳にすら、気付く者は此所には居なかった。
『お?やっと起きたか……さて、と…デートに行くか?』
「…………」
ようやく起き上がり、テーブルに着いた花恋の手元には、あの青いパンティが放られた。
英明とは絶対に違う男にも“燃えた”という恥辱の証に塗れた布地は、仄かな異臭を放っている。
それは花恋の牝としての匂いであり、本来ならばこれは英明だけが嗅げる香りだったはずだ。
『とっとと穿けよ?テメエが勝手に濡らしたんだろ?兄貴が買ってあげたパンティを穿かないってコトは無えよなあッ?』
「……ズズ…ッ…く…ッ」
ここまで徹底的に虐める理由は何なのだろう?
理不尽だけでは表しきれない理由を理解出来ないまま、花恋は不快極まりない下着を穿き、着衣と頭髪の乱れを無造作に直して指示されるままに階段を下りた。