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《見えない鎖》
【鬼畜 官能小説】

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〈二人だけの宝物〉-19

『ありがとうございました』


本性を隠した店員が、階段から下りてきた三人にお決まりの挨拶をする。

せせら笑うような作り声にも花恋は無反応で、泣き腫れた目以外は、まるで能面のような表情になっていた。


『約束の時間は12時だよな?ちょっと過ぎたけど大丈夫だろ。心配するなって、英明君には必ず会わせてやるから』

『兄ちゃん、凄いよコレ?20万も入ってるよ?』


再びミニバンの後部席に乗せられた花恋は、運転席のシートの背面をジッ…と見つめ、膝に乗せられた拳はギュッと固く握られていた。
やはりこれからデートに向かう少女には見えず、それどころか収容所に運ばれる奴隷のような悲壮さしか無かった。


(……こんな…こんな……私…汚いのに……)


ついさっきまで、花恋はレイプされていた。
罠に嵌められ一人で畜人の巣窟に送り出され、数人に輪姦されて性欲処理に使われたのだ。


当初の約束では、下着を買うだけだった。


何かある……その不安は的中し、よりによって最悪の事態に遭わされ、そして汚された身体を洗う事なくデートへと送り出されてしまう……。


『けっこう“色”を付けてくれたんだな、あの店長。話だと18万だったのに…へへ…ホント花恋は金になるなあ』

『ほら、小遣いの1万円だ。ホントに花恋は役に立つよな。俺たち二人の〈宝物〉だな』


兄弟は報酬額を見て喜んでいる。
心も身体もメチャクチャにされた花恋に何の価値もない金を渡し、それで全てが“済んだ”と勝手に決めつけている。

もう一緒には居たくない……。

まだ走行中なのに、花恋はドアを開けて飛び出したくなっていた。
だが、もうそんな事をする必要はなくなった。
ミニバンは約束の駅に着いてしまっていたし、駐車場の隅っこに止まってしまったのだから。



(英明さん…ッ!?)


約束の時間を1時間は過ぎていた。
それでも英明は花恋を待っていた。

会いたい……でも、このままじゃ会いたくない……いっそ遅刻した事に怒って帰っててくれたら……花恋の切実で悲劇的な迷いを知る由もない英明は、その誠実さから“帰宅”を選択しなかったのだ。


『お…アイツじゃねえか?やっぱイケメンだなあ、オイ』

『行けよ。もう邪魔はしないから、ゆっくり楽しんでこいよ』


兄弟は花恋をミニバンから追い出すと、そのまま駅から離れて何処かへ行った。

そして、傍に行きたくても行けないでいる花恋を見つけた英明は、明るい笑顔を振り撒きながら駆け寄ってきた。



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