第19話 研修、夕べのつどい-2
女性が口にした言葉に偽りはない。 この団体に配属された【9番】たち学園生は、朝から今まで、みっちり拳の相手をさせられてきた。 当然自分から動くこともなく、急所を避けることも許されず、受け身をとる自由もない。 ただ言われるがまま両足を踏ん張り、連綿と続くパンチを脂肪と肌とで受け止めつづけた。 そこに手加減なんてない。 団体の参加者は容赦なくボディブローを、またジャブを放ち、たった1日で身体中が青痣だらけになっていた。
闘拳団体に続いてマイクをとった女性は、【C・JJIG18番】と名乗り、自身が所属するバレーチームを紹介した。
「あたし達は研修3日目です。 午前中はカッター訓練をしました。 転覆訓練は大変でしたが、みんなで力を合わせたので、脱落者なしに終えることが出来ました。 午後に『備品』が届いたので、
砂浜に台を置き、その上で逆立ちさせました。 足が水平になるまで開かせれば、簡単な『ネット』の代用になります。 『備品』のオマンコが規定の高さになるように、肘をまげさせて調節しました。 練習はサーブ、スパイクが中心で、『ネット』ぎりぎりを狙うように心掛けました。 少しでもボールが振れると『ネット』が烈しく揺れるので、普段曖昧だった自分のサーブ精度がよく理解できました」
パチパチパチ、やや形式的な拍手。 バレーチームに配属された学園生徒は、午後いっぱい炎天下の砂浜でジッと逆立ちをつづけたのだろう。 そうして足を水平に伸ばし、内股の肌でもってネットラインを作ったのだろう。 その証拠に普通なら日焼けが薄いはずの内股が真っ赤に染まり、特にオマンコの周囲は、焦げたみたいな濃い灰色に包まれていた。 所々痣になっているのは、全力で放たれたバレーボールが、逆立ちして剝きだしの下半身を、直撃したからと思われる。
それから、デザイナー養成所の新人研修にやってきた【C・PNUI48番】にマイクが渡る。 彼女はカチカチに緊張していた。 呂律が回らない舌を懸命に動かして活動を総括する。 肌をスケッチブックに見立てて施設の風景を模写したこと。 備品の身体をキャンバスにしたこと。 備品の膣や肛門、ヘソをパレットに絵具を混ぜたこと。 おまんこの体液と混ぜることで絵具の定着が良くなるため、パレットになっている間中、備品に絶頂寸止めのマンズリを掻かせ続けたこと。 とつとうつとどもりながら、彼女はみんなに向けて話した。
看護師養成所、放射線技師専門学校、音楽専門学校といった教育機関が研修の大部分を締めていた。 あとはスポーツ系だ。 職場のレクリエーション・レベルからプロスポーツ・レベルまで、全裸の女性が取り組むスポーツ団体がこぞって参加している。 彼女たちが順番に挨拶する間、11本の小旗が悠然とたなびいていた。
「――続きまして国家に合わせ、国旗を掲揚台から下ろします。 参加者のみなさん、ご起立のうえ脱帽、唱和をお願いします」
施設長をはじめ、指導員的立場で帽子をつけていた者は脱帽した。 放送設備から流れる伴奏にあわせ、大きな声で歌う参加者一同。 ちなみに全員基本的に着衣はなく、今更脱帽もなにもない。 前にいる各団体の代表は、神妙な面持ちで掲揚台の紐をひき、メロディに合わせて旗を降ろした。
「ありがとうございました。 代表のみなさんはお戻りください。 続いて諸連絡に移ります。 本日は晴天のため『海蛍鑑賞』『天体観察』『飯盒炊飯』及び『キャンプファイヤー』『花火』のレクリエーションは予定通り実施可能です。 希望される団体は、再度事務所まで来てください。 明日退出する団体は、ベッドカバー、包布(ほうふ)、枕カバーの事前清掃及び翌朝の掃除チェックを打ち合わせます。 このあと掃除用具を渡しますので、備品持参で団体総括の方は残って下さい。 以上、御静聴ありがとうございました。 これにて『夕べのつどい』を終了します」
機械的に、淡々と解散を告げる施設長。 いくつかの団体が残り、それ以外はしばしの休息をとるべく、自分達の部屋に去っていく。
ただし、学園から『備品』になるべく連れてこられた少女たちには、休息はない。 膣に深々と挿入した小旗をようやく抜いて貰えたと思うと、もう次の夕食後のアクティビティに備えるべく、各団体の指導員が連れてゆく。
【29番】たちも例外ではなかった。 少女たちを所有する『調理師専門学校の1回生研修団体』は、夕食を『飯盒炊飯』で作ることになっていた。 調理、食材運び、後片付けは専門生がするにしても、竃(かまど)や鉄板、その他調理器具の一部を少女たちが務めねばならない。 なにしろ少女達は『備品』であり、各団体には一定の割合以上で『備品』を使用する義務がある。
大柄な指導員に首輪を引かれ、各種拘束で五感の大部分を封じられたまま。 自分がどうされるのかを知らされることもなく、【29番】たちは野外調理所へと連れられて行った。