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SM学園・行事幕間
【学園物 官能小説】

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第20話 研修、飯盒炊飯-1

〜 海合宿 ・ 飯盒炊飯 〜


 【29番】にも『野外調理』の思い出がある。 河川敷で石を組み、二股に割れた枝をさせば即席の飯盒台が出来上がる。 薪をくべ、新聞紙を着火剤にして、みんなでフーフーと吹き筒でもって火を起こし、わいわいガヤガヤ炊き上がりを待つ――ただの不便な料理場というのに、無性に楽しかった思い出だ。

 一方、学園の生徒として、また『備品』として迎える飯盒炊飯には、緊張感ばかりが満ちて、愉しむ余地は無いに等しい。 

 【29番】は『飯盒台』として扱われた。 地面に寝そべり、腰に手をあてて女の持ち物を真上にもたげる。 そうしておいて脚を直角に拡げておいて、両足の親指と人差し指をムンと開く。 両足の指で挟むように、鉄製のパイプが渡された。 それから下半身全体に『断熱クリーム』を塗布し、膣に助燃性ガスボンベを納めさせれば完成だ。 足の指先で挟んだパイプに飯盒――20人分なので、重さは数十キロに達するだろう――を吊るす。 直接肌に触れないよう気をつけながら、飯盒の真下に中心がくるように薪を組む。 あとはガスボンベの蓋を外し、薪に点火して仕上がりを待てばいい。 当然炎は【29番】の肌近くに達するし、時には薪の燃え滓が持ち物に落ちることもあるだろう。 煮立つ飯盒から噴きこぼれた熱湯が、熱への対策をしていない場所、例えばおっぱいやお腹にかかるかもしれない。 そもそも、いくら『断熱クリーム』を塗っているからといっても、肌が焦げる苦痛まで完全に消すことはできない。 それでも少女は『備品』の自覚をもって、与えられた役目をこなすしかなかった。 飯盒が仕上がるまで、どんなに早く見積もっても1時間はかかる。 仕上がって以降も、白米を冷ます時間もあるし、全体では2時間近くV字に足をあげた姿勢を維持することになる。 熱と重力に苛まれる、終わりが見えない調理時間。 でも、所詮学園の研修が終われば、もとの生徒生活が待っている。 そういう意味では、終わりはある。
 
 一方、一度学園の本筋を離れ、例えば『Dランク』や『Eランク』のレッテルを受けてしまった場合は違う。 ただの器具、農具、家畜、素材に堕とされる未来が待っている。 自分の身体を厳重に拘束され、或は不可逆な処置を施され、こんな風にモノとして過ごす時間が永遠に続くことになる。 合宿を経た学園生徒の胸に去来する想いは一つ。 何としても卒業したい、学園を卒業してCランク以上になりたいという願い――願う強さもさることながら、切実極まる哀しい祈りだ。

 【29番】の装飾が済んだ頃、専門学校の生徒たちが食材をもって集まった。 ザルに盛った夏野菜、量こそ少ないものの、霜が降った本物の牛肉。 野外調理の題目といえば、古今東西バーベキューと決まっていて、研修といっても例外ではない。

 1日3食、毎日オートミールばかりの学園生徒達にとっては、食材の香りだけでも脳が蕩けそうになることだろう。 とはいえ、少女たちは『備品』なため、最小限の栄養補給以外、給餌は一切存在しない。 自分の身体を調理に提供すること自体に幸福を感じるのが器具の本分で、本来なら香りを嗅ぐことすら分不相応とすべきくらいだ。

 具材を焼く『鉄板プレート』の役目は、仰向けになった【2番】と、【2番】の上に跨った【29番】が担う。 仰向けになって両手両足を上に伸ばした【2番】の手足が、一枚板の大きな鉄板を支える。 鉄板と【2番】の間に挟まるように身体を屈めて、【29番】は『ブリッジ』を作った。 そのままの体勢で、口と女の持ち物に『プロパンガス』を咥えて待機する。 後は誰かがプロパンガスに点火すれば、女の持ち物と口で鉄板を炙るだろう。 【2番】が支えるプレートを、【29番】が加熱する。 
 目隠しをしたまま訳も分からず指導員に体勢を固められるうちに、即席の鉄板が仕上がっていた。 あとはどんなに熱かろうと苦しかろうと、今の姿勢を保ち続ければいい。

 調理器具となった少女たちを尻めに、専門生たちは包丁を振るう。 皮を剝く速度、肉を捌く鮮やかさ、根菜を刻むリズム、どれをとっても一流といえよう。 専門生は裸にエプロンというふしだらな恰好ではあるものの、学園生のように積極的に牝性を前面に出すこともない。 例えばわざわざ膣に咥えたカッターで千切りさせられるような、非効率的な要求はなされない。 彼女たちに求められているのは、ただ純粋に一流の調理師になること。 如いて牝性に関連して備えなければいけない要素といえば『自分の精神、肉体よりも調理を優先させる気構え』だろうか。



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