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「柔らかな鎖」
【SM 官能小説】

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「柔らかな鎖」-15

「さ、こっちの話はここまで。今度は響子ちゃんが話す番だよ。話してくれる気になったかい?」
「あのねえ和明さん、さっきからの響子ちゃんの顔色見てればわかるでしょ? 詳しく聞き出そうとするのは残酷よ。それともそういう趣味があるわけ?」
 雪乃さんは総てを察していたらしい。そういえば最初から「安野」と呼び捨てに、憎々しげに呼んでいた。
「でも、いいんです。どうせ、どうせもう、由布さんに会わせる顔なんてないんです。こんな馬鹿なことをしちゃったのに、由布さんが私を許してくれる筈がない……」
 私は涙を堪え切れなくなって、やっとそう言った。そうしたら和明さんが、
「響子ちゃん、それは違う。それは柿崎由布って人間をわかってない。由布がそんなことくらいで、響子ちゃんを許せなくなると思うか?」
と言った。雪乃さんも
「そうね、どうせ柿崎くんのことだから、『罰を与えなければいけないね、響子』って言ってそれで終わりよ、多分」
と続ける。雪乃さんが由布さんの口調を真似したのがあまりにそっくりだったので、三人で顔を見合わせて、吹き出した。泣いていたはずだった私までも。

「俺、その時に由布に借りがあるんだよ。あれが暴力事件になって、サークルどころか野球部も、下手すりゃ大学も辞めなきゃならない羽目になってたかもしれないのに、由布が安野のことを要注意人物だってうまく周りに説明してくれたから、助けられたんだ。だからその借りをかえさないといけないんだよ」
 和明さんは神妙な口調で言った。
「今由布がどれくらい落ち込んでるか……並み大抵のことじゃないさ。だから響子ちゃん、君は由布のところに戻る義務がある」
「でも、どうすれば……」
「そうよね、それが問題。柿崎くん妙に意固地なところがあるから、『一度自分の元から去った人間を戻りたいと言ったからすぐに受け入れるようでは、主人としてのしめしがつかない』とか言いそうだもんね」
「ああ、でも、なんだかんだ言っても由布は響子ちゃんに夢中だから、ちゃんと話せばわかってくれるよ」
 和明さんと雪乃さんと話しているうちに、私は希望が湧いてきたような気がした。もう一度由布さんのものに戻れるなら……どうせこれ以上事態は悪化しようがないのだから、試す価値はあるかもしれない。

 家に帰り、まず最初に股縄をナイフで切った。それから安野先輩に電話して、
「明日、大事な話があります。部室に来てください」
と言って返事を聞かずに電話を切った。


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