成長-2
「じゃあこれから僕たちホテルでヤルんで、そろそろ失礼しますね。夏帆も今日はこんなに見られてヤリたくてしょうがないだろぅ?」
「もう……ヤルだなんて」
「とか言いながら、どんだけ興奮してんの?」
妻は自らの手を股間に差し込むと、その手を太田君に突き出す。
「こんだけ」妻の手は指先までも濡れ滴り、居酒屋の蛍光灯にさえ輝くほどだった。
「夏帆は、どんだけ露出狂なんだ。しょうがないなぁ、ヤッてやるよ」
結局、妻は居酒屋で全裸ではの撮影会をおこなった。いいものを見せてもらったからと店は全員の奢りとなった。
恥じらいよりも欲情を満たしたくてしょうがないのだろうが、初夏の日差しの中、少女のように走りカメラを追ってホテルに向かう全裸の夏帆は、まるで妖精のように美しかった。
部屋に入るなり、ドアが閉まるのも待たずに裸身を太田君に擦りつけ、彼の唇をねだる。そんな彼女をまるで犬をしつけるようになだめ、彼はカメラを三脚に固定すると、ファスナーを開けいきり立つペニスを取り出した。妻の手がリングを描き彼の首に巻きつく。太田君は妻の片足を持ち上げ、ヒザを曲げ彼女の高さに合わせると、ペニスを挿入して一気に突き上げた。ドアを背景に二人は立ったまま求め合った。彼が突き上げるたび妻のハイヒールのつま先が浮き上がる。ものの数十秒で彼女は吐息と共に腰を痙攣させた。
「次はどんな体位がいい?」
僕ですら言ったことのない太田君の言葉に、妻はドアに頬と耳を付けて細い両足の先にある小さなお尻を突き出し、ハイヒールのかかとを目いっぱい浮かせ彼を求めた。
「あんっ、いい、あーっ、圭一さん、いい」
ドアの向こうの誰かに聞かせるように喘ぐ。彼が腰を突き出すたび妻の顔とドアがぶつかり音を立てた。
色々な体位で散々愛し合った二人がベッドに横たわっていた。彼の腕枕にうっとりと身を寄せ抱かれている妻を見て思った。
もっと夏帆を悦ばせてやりたい――
太田君に電話をかけた。
「圭一君、仲のいい友達いる?」わざとらしい僕の問いに沈黙する彼に続けた。「いたらさあ、夏帆をデートに誘ってやってほしいんだ。三人でデートしてもらいたいんだよ」
――沈黙の後、太田君は僕の言葉の指し示す意味を理解した。