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妻の悦びが僕の愛のカタチ 〜奈落へ栄達する夏帆〜
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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僕について-1

 汗ばんで光る白くしなやかな背中に、黒いセミロングの毛先が張り付き模様のようになっている。
 若い男に腕を絡ませて女の鼻先が天を向き、甘い吐息を漏らす。二人の男女がベッドの上で愛を営んでいた。
 男のあぐらの中に収まる小さなお尻が激しく突かれ、女はリズムを奏でていた。僕はその女を知っていたが、こんな声は聞いたことがなかった。
 男が小さく呻き、女に性を放った。
 PCのモニターに食い入っていた僕も同時に射精した。
 僕は動画を保存した後、フォーマットを済ませてメモリーカードを取り出した。メモリーカードには僕の字で『圭一君へ』と書かれていた。

 会社を早退し、月に一度通っているいつもの病院に車で向かう。診察と言うより、ただ眠剤と精神安定剤、抗不安薬をもらう為の儀式のようなものだ。
 僕は、地元に三店舗の支店を持つ印刷会社に勤務する一般的な会社員である。十二年前支店長から部長への昇進を告げられた。二十代後半、仕事が面白くて仕方ない僕は文字通り身を粉にして仕事に励んだ。しかし半年後にはひどい頭痛や耳鳴りに襲われるようになり、やがて強烈な倦怠感に襲われ、やがて仕事も休みがちになった。
 当時付き合っていた夏帆の勧めもあり、病院へ行った。
 うつ病と診断された……
 部長職を辞退する僕に会社は休養を勧めたが、僕は仕事を続けさせてもらった。職場での地位や立場はどんどん低くなっていったが、解雇されるよりましだった。小企業のただの総務の事務職である。現場で印刷する技術も、営業のスキルや経理の知識すら無い僕には、他の仕事をする自信も気力も無かった。

 薬をもらった僕は自宅に帰った。正面玄関にはオートロックすら付いて無く、決して豪華とは言えない六階建ての分譲マンションの三階の六号室である。七年前、夏帆との入籍を機に、二人で購入したものだ。今も僕の僅かな給料と妻のパート収入でローンを返済している。
 
 チャイムを鳴らすといつもの様にドアを開け妻が出迎えてくれる。一六八センチの背が高いとは言えない僕から見ても明らかに彼女は小柄である。
「お帰りー、病院どうだった?」
「うん」明るく気遣う妻に返事をして、そのままリビングのソファーに座り込む。いつも無口な僕に、妻は常に明るく接してくれた。
 妻との出会いはいわゆる社内恋愛だ。初めて彼女を見た時の衝撃は今でもはっきりと覚えている。細身の体をタイトなリクルートスーツで包み、明るい笑顔で挨拶をする可憐で清楚な彼女を今でも覚えている。

 社内ですれ違うたびに、肩まで伸ばし内側にカールさせたセミロングの髪がなびき、シャンプーの香りと共に僕を誘っている様な錯覚を覚えるようになっていった。僕はやがて彼女の小ぶりなお尻や、ツンと張り出した胸に目が行くようになっていき、ついに堪えきれなくなった僕は彼女を食事に誘った。
 もちろん断られた。分かりきっていた事だ。なぜなら彼女は既婚者であったからだ。
 彼女は学生結婚で新婚でもあった。それでも僕は何度も食事に誘った。とても迷惑だったと思うし、今でも当時の旦那には申し訳ないと思っている。
 ある日、彼女はデートを承諾してくれた。彼女が入社して三年目の事だった。
 週末、僕達は予約しておいた町一番のレストランで食事を楽しんだ。彼女は学生時代の思い出や短大卒業後、入社の際とても緊張した事、そして僕の第一印象がとても良かった事などを話してくれた。僕の誘いがまんざらでもなかったとも話してくれた。
 やがてお酒もまわり、どちらからともなく下世話な話になっていた。彼女は高校の時に処女を喪失したこと、今の旦那が二人目の男性であることを告白し「もっと沢山の男性とお付き合いし説けば良かった」と笑った。彼女の話によると、結婚当初から旦那は月単位の出張が続き、たまに帰っても疲れきって夫婦の営みがまともに出来ていないらしい。

 食事を終えた僕たちはその後……車内で結ばれた。

 それからは、毎日の様に身体を重ねる日々が続いた。僕は彼女が人妻だと思うといっそう燃えた。彼女を支配したい。彼女の新しい部分を壊してみたい。そんな思いからアナルセックスも二度、三度した。アナルセックスは彼女を支配したいという心を満たしてくれたが、決して気持ちのいいものでは無かったし、彼女も嫌がるのでやめた。
「生理が来ない」
 ある日彼女がそう告げてきた。僕は産んでくれるよう懇願したが、旦那に申し訳が立たないと頑なに彼女は拒んだ。結局、中絶する事になった。もっと彼女を説得すべきだったと、そのことを今でも僕は後悔している。
 ほどなく、彼女の姓は旧姓になり会社も辞めてしまった。電話にも出ず、メールの返信もない日々が続いた。
 一年後、電話があった。「元気にしてる?」それが彼女の一言めだった。
 一年ぶりに会う彼女は以前と全く変わりなく元気だった。少なくとも僕の目にはそう映った。そして再び愛し合うようになり、彼女は僕のアパートにすっかり居つくようになった。
「結婚しようよ」
うつ病を発症していた僕に、彼女は明るくそう言ってくれた。そして籍を入れ今のマンションに移り住む事になったのだ。

「それでね、太田君ったら私を見てきれいだ〜なんて言うのよ」
妻が食事をリビングテーブルに運びながら笑っている。蛍光灯の眩しさがとてもつらい。
「太田君はねその箱を2つも持ち上げるの。さすが男の子よね〜」今日も食欲がない。
「わたしが振り向くと太田君が立っててね、夏帆さん小さいなー、小学生みたいって言うの失礼でしょ」太田君とやらのセリフの部分は声のトーンを下げ、演技をして見せる妻は笑っている。僕たちの会話に太田君っていつから登場していたのだろ? 考えながら、太田君を連呼する妻に言った。

「今度、夕飯に誘わないか? 太田君」


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