官能-2
おもむろに太田君が妻の口にペニスを押し付けた。彼女はそれを口に含み舌で転がした。やがてペニスが充血し始めると、頭を激しく前後に動かしペニスの充血を助長した。彼は妻の口で十分にペニスの能力を取り戻すと、ベッドに胡坐をかいて座る。ペニスは彼の身体に並行するようにそそり立っていた。妻は彼の間にまたがりペニスへと腰を沈め、彼の首に両手を巻き付けると、腰を前後に振り出した。太田君の手が彼女の小さなお尻に添えられ、その動きに力を貸した。妻が前に腰を突き出すたび付き返し、より深くペニスが押し込まれるようにする。
「ん、ん、んっ、あっ、ぃぃ、あっ」
僕は耳を疑った。妻との行為の最中、彼女の口から「いい」と聞いたことがなかったからだ。だが、今、かすかにそう聞こえた。
「はぅっ、あ、あーっ」
妻が太田君の膝の上で絶頂を迎える。太田君は容赦なく腰を突き上げつつ、彼女の小さなお尻を引き込む。快楽の余韻の中、彼女の呼吸が激しさを増してゆき自ら腰を振り始めた。
「あーイキそうーだっ」
今度は太田君の番であった。彼が妻の腰を持ち引き離そうとした時、妻は投げ出していた細い脚を、彼の腰に巻き付け強く引き寄せ腰を振り続ける。
「あっ、ぃぃ、ぃぃ、ぃい、いい、いいーっ」
はっきりと聞こえた。僕は唖然としてしまった。いつか一緒に動画を見ようと思っていたが、僕の知らない妻を見ているうちその気は失せて行った。先ほど寝室に入ろうとする妻の「ごめんね――ありがとう」と言う、まっすぐな瞳が脳裏に焼き付いている。
「イクッ」
太田君の声に、妻は全力で腕と脚を使い彼の身体にしがみつき、彼の放つ何億もの男性特有の子孫繁栄のための温かい細胞の集合を、腰をヒクつかせながら「女」の体内でしっかりと受け止めていた。
さすがの太田君も度重なる射精に疲れたのだろう、その後は一緒にお風呂に入りテレビを見ながらいちゃつくだけだった。仲のいいカップルでしかない二人に、嫉妬心を覚え僕はペニスをしごいた。
車内からホテルの入り口が映されていた。植込みの隙間から妻の顔が覗く。あたりを見回し、少女のように車に走ってくる。下着姿でだ。
初夏、日の高い夕暮れ時であった。