共通感覚-1
縮れた毛の中に鼻をうずめた鉄矢は、脳が痛むような強いにおいに意識を眩まされながら、舌では若い女の溜めた塩辛さを拭い取っていた。女は鉄矢がそうしているだけで、激しい快感に貫かれたことを何度も体で表した。ルルは、どんな童貞男より感じやすいのだった。射精の止まらぬ童貞男を鉄矢はルルから想像した。
「ばかになりそう。」
鉄矢が入ろうとして口を離す短いあいだにルルは呟いた。
「自分でするときはどうなの?」
鉄矢が聞いてみると
「自分でなんか、したことないよ。そんなこと考える暇なかったし。」
本当らしかった。
鉄矢は入ったものが抜けないよう気をつけながら、ルルを上にさせて言った。
「自分で動いてみてよ。ルルが見たいんだ。」
「恥ずかしい。」
しかし、ルルは腰を揺らし始めた。重なった辺りにたちまちぬめりが広がっていった。
「また漏らしても知らないよ。」
「まだ溜まってるの?」
「だって出てくるんだもの。」
言ってからルルは目を閉じ、自分の中に籠って続けた。余程走らなければかかないという汗が、降り始めた雨のごとく鉄矢の体に落ちた。硬く尖った黒い乳房が上下していた。
楽に見て楽しむつもりの鉄矢だったが、ルルの奥が口の中のように吸いついて、柔らかにざらざらとしごくのに気持ちを持って行かれてしまった。ルルの腰は走る速さに動いた。そして、この若いアフリカ人の女は、鉄矢の上で声を上げ、苦しそうに身をよじった。重なった腰の隙間から、温かなしぶきが舞い散り、鉄矢の胸まで濡らした。鉄矢の男の体から喜びとともに力が飛び出していった。それを女が吸い込んでいくのを、鉄矢は噛まれた先端ではっきり感じた。
ばたりと鉄矢に身を投げ出したルルの下腹が、まだ中で蠕動している。鉄矢はそこで用を足してみた。それもはらわたに飲み込まれていった。
「ルル、僕ね、小さい女の子が好きな人間なんだよ。ロリコンて知ってる?」
耳元に話しかけられたルルは目を開けずに
「知らないよ。あたしのことは嫌?」
「初めて本気で好きになれそうな大人。」
「じゃあ、鉄矢がなんでも構わない。」
「子供の裸が見たい男でも?」
「いまいろいろ喋らないで。あたし、もともと頭悪いのに、これするともっと馬鹿になる感じ。」
声が頭に染み込む心地よさだった。
「これしか僕たち、してないよね。」
そう言って鉄矢はルルの腋に口を当てた。毛が伸びてきていた。細かく丸く縮れた毛だった。縮れた根元は汗の玉を次々と拵え、強く濃いにおいを周りに広げていた。鉄矢はルルに伝えた。
「嫌なら鉄矢が剃って。」
そこのにおいが下の方からも漂ってきた。ふと、鉄矢は、そのにおいを通して、ルルの肌からルルの味を感じた気がした。Common Senseという言葉が鉄矢の脳裏に浮かんだ。相手と一つになれることは良識であり、善き感性なのではないか。
ルルは腹の中でまた大きくなってゆく鉄矢を頼もしく思った。