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黒い聖母
【理想の恋愛 恋愛小説】

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共通感覚-2

「どうだった?」
アパートに帰るとニーナが早速尋ねてきた。黒い肌のルルに会ってきたばかりの鉄矢には、裸で出迎えたニーナの白さがいつもより眩しく見えた。
「どうって?」
「女の人。」
ニーナは鉄矢の頭を抱えるようにして、自分の脚のあいだへ導いた。目の前で割って開いて見せた。
「どう違う?」
「これがもっと長くて、においがする。」
これが、と差すのに使われたのは鉄矢の舌であった。ニーナはその拍子に擦り付けてきたので、鉄矢は倒れて尻の下になった。
「もっと臭いの?」
「まあね。」
「胸もあるんでしょう?」
「おかしなこと聞くな。大人だぞ。それがどうした。」
「あたしの、吸ってよ。ちょっと膨らんできた。」
ニーナの胸は、乳首の周りが硬く、フジツボのように尖っている程度だった。物に当たると痛くて仕方がないとよく言っていた。
鉄矢はニーナを下にして覆い被さった。案の定、鉄矢が遠慮なく吸い付いてみたら、その痛みに顔を手で覆って仰け反り叫んだ。少し噛んでみると、許しを乞うように目を見開き、鉄矢を見た。しかし、離した鉄矢にニーナは強く言った。
「やめないで。」
ふと、鉄矢はニーナの白い腋の下からルルと同じにおいがするのに気がついた。子供なのにこんなにおいがするのは、「特区人」だからだろうか。毛のないそこの、どこからにおうものか、鉄矢は犬のように鼻を擦り付けた。けらけらニーナが笑い出した。
女の子供の体は、本当の人間らしさを備えていると、鉄矢は常々思ってきた。もちろん、におうところはにおうのだが、その量にしろ、形にしろ、大人に比べれば動物から余程遠い。しかも、魂にも、輝くような知性とCommon Senseをもともと持っている。ニーナも少しだけ女に傾き始めたのだと鉄矢は思い、悲しくなった。ただ、この胸の様子ではまだまだ先のことではある。
膝で立ち上がった鉄矢は、ズボンを下ろした。
「口でして。それと、手で自分でするところ、見せて。」
「玉、させてくれるの? じゃあ今日は痛がってもやめないよ。」
嫉妬の芽生えを緩和すべく、ニーナが最も好きな行為を鉄矢はさせようと考えたのだった。大抵、ニーナは鉄矢のなすがままでいるのだったが、自分で動くときは、鉄矢のそこに異常な執着を見せた。この時ばかりはニーナの子供の溝が、一人だけで大人のように乾かなかった。
片手の指を溝に挟んで上に下にと動かしながら、もう片方の手でニーナは鉄矢の中の形を探っていった。
「ほら、痛いところ見つけた。」
本当に痛いところを摘まれた鉄矢が今度は悲鳴をあげた。ニーナはうふふと笑い、一つを口に含み、一つを指三本でひねり回した。
噛まれる恐怖を感じたそこは縮み上がったが、それをニーナの口が吸い戻した。下の方でこするニーナの指は溝に音を立てる勢いだった。鉄矢が痛みに苦しんで呻くと、溝を動く指の勢いはさらに増し、やがてニーナは腰を浮かせて腿をきつく閉じた。ニーナの鼻から猫の鳴き声のような高い声が漏れた。ほんの一呼吸おいてニーナはすぐに指の動きを再開した。
急に袋から口が離れたと鉄矢が思ったら、ニーナはその袋ごと掴んで鉄矢を乱暴に引き倒した。鉄矢の上に乗り、その顔に背中を向けていつも通り溝を押し付けた。
「やっぱりこうがいい。」
塗りつけるつもりであるかのように、ニーナは腰を動かした。溝から鉄矢の鼻に流れ込んできたぬめりは口まで伝わり、ぬるい海の水を思わせた。放っておかれていた自分の硬い下腹部の先に、ニーナの歯と喉とを鉄矢は感じた。快感に腰が緩んだのも束の間、袋を両手で押し掴まれた。鉄矢はニーナの腰に抱きついて、せめてもの抵抗の証に、息を吹き入れた。ニーナは悶えながら鉄矢を責めてしごいた。
自分を無くしてしまうのでなく、ニーナの今しているのは、鉄矢を自分のものにして無くしてしまうことだった。
鉄矢は、ルルを思うことも、先を煩うこともなく、この時間、動物のように今だけを生きていた。


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