待ち合わせ-5
「とりあえず、行こっか?」
タクミがちづるに言う。
ちづるはハッとして答える。
「ぇ? あ、、うん。
どこに ?」
「ぁー、、そうだよね。
ちづちゃんの、 」
タクミはちづるの行きたい所に、
と言おうとした。
しかし、ちづるはその言葉を先読みして
思わず動揺する。
その動揺が、顔に思いきり出た。
タクミは言いなおす。
「、、ぁーー。
ここの5階見ていい?
最近来てなかったしー。
いい?」
「あ、 うん、、。」
ちづるはホッとする。
「良かった。
じゃ、行こう? 」
「、 、、え?」
タクミはニコッと笑いながら、
右手をちづるに差し出した。
ちづるは固まる。
固まりながら苦笑いをして
タクミに言う。
「え? や、、ぁの、」
「手ー。 繋ごうよ。」
「、 、、っ、
無理です。」
「えー!? なんでよ?」
「そ、んなの っ 無理だよ!
だって、誰かに見られたら、」
「大丈夫だってー。
ラインでも言ったじゃーん。
誰かに会ったら
イトコで押し通すって。」
「イトコは、手を繋がないよ!」
「俺らは仲良しイトコで、
手をいつも繋ぐ、って設定なのー。」
「、 、 、無理 です!」
この年の差でっ !
手なんて繋いでたら
私 犯罪者だと思われるっ !
売春 ? 的な
、 、って
18才ならセーフだっけ?
帰ったら スマホで調べよう
って 今は
それどころではない!
説得 しなくちゃ !!
「 〜っ、タクミ君は、、
デートとかする時、
手を繋ぐ派なの? 」
「ぇーー? ふふっ
昔とかーー?
俺はー、、、えーーと、、」
タクミは過去の恋愛を思い出す。
「繋がない 派 。」
むしろ拒んだ事も あったな
「、、ちづちゃんは?」
「ぇっ? あたし ?
私は、、、
ぇっ と 、、 、」
ちづるは過去の恋愛を思い出す。
「繋ぐ 派、、。」
むしろ せがんだ事もあったっけ
「、、、、。」
「、、、、。」
「じゃー、、そうしよう。」
「うん。 繋がないって事で、」
「は!? 繋ぐよ。」
「、、無理。」
「もーー。
じゃあ、ここは
やはり公平に、 」
タクミはニヤリと笑う。
「ジャンケンで決めよう。」
「、 、、分かった。」
絶対に
負けられない ! !
2人は、特にちづるは真剣に
大きく振りかぶり
大きな声で、「じゃんけーーん!」
と声を掛け合う。
今日はなるべく目立たないように
過ごそうとしていたちづるだが、
大きな声で、大きく振りかぶって
ジャンケンを挑む姿は、
普通に目立っていた。