待ち合わせ-3
どんな内緒話をしているか、
容易く想像が出来る。
この女の子達は、どうやらタクミと
由佳の関係を知っているらしい。
しかし、今のタクミにとっては
それは過去の話だった。
タクミが言う。
「 えーーとーー、、
話したことあったっけ?」
「え?」
「ぁ、俺ら、 、、。」
3人に、そう話しかけると
白いパーカーの子が答える。
「えー? ありますよ!
私ら、今2年なんですけど、
1年の時に、、。
球技大会の委員で一緒でしたよね!?」
「、 、ぁーー。
なるほど 。」
、 、って。
1年前の事なんて
覚えてない
「あの、ちょっと
お願いがあるんですけど!」
「え? 俺に? 何 ?」
早くしてーー
ちづちゃん 来ちゃう
「写真、一緒に撮ってください!」
「、 、、え? なんで?」
白いパーカーの女の子と、
ロングヘアーの女の子は
テンションが上がっているのか、
お互いをバシバシと叩きあっている。
タクミの「なんで?」は
届いていない様子だ。
ぽっちゃりとした女の子だけに
届いていた。
その子がタクミに言う。
「あのー、まぁ、、
卒業間近だから、って事だとーー」
「ぁーーー。
なるほど。」
白いパーカーの女の子と、
ロングヘアーの女の子は
ぽっちゃりした子に言う。
「りか!
お願い!撮ってくんない!?」
りかと呼ばれたぽっちゃりした子は、
白いパーカーの女の子からスマホを渡されている。
素早い動きで、2人はタクミを囲う。
りかが、2人に思わず言う。
「や、、あの、きみ達。
先輩のーー、
了承を得てないんだけどー。」
「、あ。」
「、あ。」
2人はハッと気がつく。
冷静な、りかの言葉が
なんだか可笑しくなり
タクミは思わず笑って言う。
「、、 ふふっ、
ぁーー、、いいよ。
約束あるけど、
写真だけなら、すぐだもんね?」
そう言うと、
タクミを囲う2人の女の子達は
黄色い高い声で
「ありがとーございます!!」
と、お礼を言う。
りかが、
スマホでアングルを確認しなが呟く。
「ぉーーー。
先輩って、
優しいんすねーーー。
はい、じゃーー、
撮りまーす。
せーーの っ 」
りかが、独り言のような感想を
低い声で言い、スマホで撮影をする。
それがやはり可笑しくて、
タクミは思わず笑った。
写真にはちょうど良い、
いい笑顔になっていた。
写真を撮り終わると、
3人はタクミに
「ありがとうございました!!」
と、お礼を言う。
約束の邪魔をしては悪い、と考え
3人はすぐさま去ろうとする。
去り際も、白いパーカーの子と
ロングヘアー子は、
何度もお礼を言っていた。
りかは、低い声で冷静に
「お騒がせしましたーー。」
と、言っていた。
タクミは3人に手を振る。
振りながら思う。
何だったんだ 今の
、、って、今何時だ!?
ちづちゃんは ?
タクミは、
あたりをキョロキョロ見回した。
エントランスホールにある
柱の向こうにちづるを発見した。
2人は目が合う。
タクミは思わず手を振る。
「 ぁ! ちづちゃーー、 、」
10メートルほど離れた場所から、
こっちに歩いてくるちづるも
タクミに向かって手を振っている。
ハイヒールを履きこなし、
ピンと背筋を伸ばし堂々と歩いてくる。
顔つきは凛としていた。
タクミは、
ちづるに初めて会った時の事を
ふと思い出した。
「、 、、 、。」
あ、 。
なんか
思い出した
俺 ちづちゃんの事、 、
ちづるがタクミの正面に来た。
遠くから見たちづるの顔は、
凛としていたが、近くで見ると
少し変な顔をしている。
言葉を探している様子だ。
「、 、、っ、 ぁの、
お待たせ しました。」
「 ?
ふふっ、、
待ってないよー。
なんか、顔が変だよ? 」
ちづちゃんの第一印象
あんま 良くなかったなぁ
なんか
もっと
嫌な女っぽいって
思ってたなぁ 俺
「え? そーかな?
、 、、今の、友達?」
「え?」
「女の子達、、。」
「ぁあ! 見てたの?」
「うん。」
「後輩、みたい。」
「え ? あ、高校の?」
「うん。」
「そっ か、、。」
「、、ふふっ、なぁーにー?
なんか、顔赤いよ?」
「え? そうかなぁ?」
「いつから見てたの?」
「え ? えーと、、
多分、全部、、。」
「そっか。」
「、 、、タクミ君て、」
「ん?」
「ファンが いるの?」
「、、は?」
「や、、あの、ファンクラブが
あったりするのかなー、と。」
「、 、 。 ふふっ、 〜っ」
タクミは思わず笑い出す。
笑った後に言う。
「、、ないと思うよ。」
「、、 そっ か。」
あれ? なんか
恥ずかしい
ファンクラブって発想
やっぱ古いのかな ?
んーーー? でも
ジャニーズ とか、
今もファンクラブって
言うよね 多分
ちづるは、さっきの女の子達を
思い出す。