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「夏の出来事 5」
【若奥さん 官能小説】

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待ち合わせ-2

タクミとの約束では、
タクミが9:15に家を出て、ちづるが
9:30に家を出る事になっていた。

ちづるは、
待たせるのは悪いから、
待ち合わせをしたいなら自分が
先に行く、と提案したがタクミは
それを断った。

朝、ラインでのやりとりの中、
タクミはその理由をこう言っていた。

【男が待って、女が後からくる。
これが定番のデートでしょ。】

定番、という言葉を使ったタクミが
なんだかおかしくて、
ちづるはスマホを見て
思わずふふっと笑った。

黒いコートを着て、
ボルドー色のハイヒールを履き、
9:30ピッタリに家を出た。
家を出て、
市営住宅の外の階段を下りる。
自転車駐輪場から
駅に向かって歩き始めて
すぐに空を見上げる。

昨日の夜は雨が降っていたが、
今は晴れて、雲は多いが
日差しが差し込んでいる。
小さく独り言を言う。

「、、晴れて、良かった。」

タクミの待つT駅に
思いを馳せて早足で向かった。

T駅北口の駅ビルは、屋外2階に
モノレール乗り場や百貨店につながる
大きなエントランスホールがある。

そこには、コーヒーショップ、花屋、ファーストフード店などが建ち並んでいる。

2人は、そこの
コーヒーショップの前で
待ち合わせをした。

タクミはコーヒーショップの
前に着くと少しの間、
ぼんやりと人混みを眺めていた。
日曜の朝の街は、家族連れや学生、
カップルなどで賑わっている。

しばらくすると、
ポケットからスマホを取り出し、
時間を確認する。

「、、、 。」

 ちづちゃん、何着てくるかな

   あ ーー 

 なんか テンションあがってきた

 お外で〜〜
     お散歩〜 〜 ♪

  

  、、 、って。

  犬バージョンのちづちゃんしか
  浮かばないなーー


タクミは、
ニヤニヤしてしまいそうになるのを
かみ殺した。
コーヒーショップの
ガラスの窓に映る自分が
ふと視界に入る。
ニヤつかないよう、
頬を拳で押した後に
窓に映った自分を見ながら
前髪を整える。

すると、背後から声をかけられた。


「あの、 、!

  新海先輩、
     ですよねぇ ?」

「え ?」

声がした方を振り向くと
女の子が3人、そこに居た。
タクミは女の子達の顔を確認するように眺めるが、1人も顔が分からない。
小さく呟く。

「ぇーー、 、、?」


    先輩 ? ? 

  あ、 。

「同じ、、高校?」

タクミがそう聞くと、
白いパーカーを着た、おかっぱ頭の子が答えた。

「そーですっ! 
 そーですーー!!」

何が面白いのか、おかっぱ頭の子は、
友達をバシバシと叩きながら笑っている。
バシバシと叩かれている
ロングヘアーの女の子も笑っている。
叩かれながらその子が言う。

「え、? 何してるんですか?
 村本先輩は、いないんですか!?」

「え ? 健? うん、、。」

「そーなんですかー!
 あっ! もしかして
     菊地先輩と、 」

ロングヘアーの女の子がそういうと、
ずっと黙ってた、少しぽっちゃりした子がすかさず口を挟み、ロングヘアーの女の子に耳打ちをする。

(ちょっと、! 菊地先輩とは〜〜)

タクミにも内緒話が少し聞き取れた。
菊地とは由佳の名字だ。
どんな話をしているか、
タクミにも容易く想像が出来る。


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