中田みな実の豹変-1
「今日、これから奥様方に誘われて歓迎パーティーを開いて貰う事になったんですよ!場所は百合が丘区の鈴本杏樹さんの自宅でやる事になってます。だから今日は戻れません。」
フレアヨガ教室潜入捜査二日目、ヨガ教室が終わった後、中野扮する吉川から若菜に電話があった。
「分かったわ。くれぐれも気をつけてね?」
「はい!ところで…」
若菜には吉川の言いたい事は察しがついた。
「そう言う雰囲気になったらセックスしてもいいのかって事でしょ??捜査としてわきまえてるならいいって前に言ったわよね?」
呆れながら言う若菜。
「勿論ですよ〜。まぁ万が一にもそんなおいしい話はないとは思いますけどね〜、万が一にも♪」
「(目一杯期待してんじゃん…)そ、そうね。」
「ヤバい事になりそうだったらすぐ連絡しますんで!じゃ!」
そう言って電話は切れた。
「あの人は一体どこまで真剣に捜査をしてるんですかね!!」
ふざけてるとしか思えないさとみには面白くない。そんなさとみを金田がからかう。
「石黒さんて吉川の事になるとムキになるよなー。もしかして好きなんじゃないのか??」
「!?だ、誰がっ!!あんなホーケー野郎なんて何とも思いません!!私は近藤さんのように紳士的な人が好きなんですぅ!!…あ…」
思わず好きと言ってしまったさとみは顔を真っ赤にして出て行ってしまった。
「ハハハ!何気に告っちゃったよアイツ!」
金田は笑った。近藤はどうしていいか分からないが、とりあえず我関せず的なスタンスを取る。
(まさか人妻とあんないやらしい事をしただなんて口が裂けても言えないよな…)
ますます秘密にするしかなくなってしまった。そして近藤にとっての捜査2日目の時間が来た。県警本部を出て変装して捜査用のアパートに入る。
(曜子さんの顔、まともに見れないかも…)
何となく恥ずかしい。近藤は気持ちを篠田に入れ替えヨガ教室へ向かった。
男子更衣室に入ると太田がいた。篠田の顔を見るなりニヤニヤしながら話しかけてきた。
「やぁ、篠田君!最高だったろ?熊野曜子は!」
改めて聞かれると恥ずかしくなる。
「ま、まぁ…」
恥ずかしがる篠田にズケズケと話しかけてくる。
「どうだ?あの媚薬。効くだろ?ヤベーよな、ビンビンだよな!」
どうやら太田も曜子に媚薬を使われたようだ。
「ここの女めら、媚薬セックスにはまってるらしいぜ?中田みな実もそうだったし。」
「あの純粋っぽい子が媚薬を!?」
「フフフ、だいたいヨガなんてやりに来る女は欲求不満だったり何かしら闇を抱えてるもんさ。気分が晴れるものなら何でもやりそうじゃん?今日は中田みな実を誘ってみろよ。きっとついてくるぜ?ククク」
篠田の肩をポンと叩き出て行った。
(あの可愛らしい子が曜子さんのように超ド淫乱に…?)
もはやそれを想像する近藤は、石黒さとみの期待に応えられるような警察官ではなくなっていたかも知れない。