14's CHOCOLATE~boy's side~-2
帰りはよく覚えていない。伸と圭介にギャースカ言われたような気はするけど…。
家に入ると玄関で、姉ちゃんが右手を差し出して待っていた。
「チョコ、出しな♪」
「ハ、ハイ…」
俺は鞄から箱やら袋やらを出して、姉ちゃんに渡す。
「…コレで全部?まぢで??命掛けれる??イエス様に誓える??」
「…全部だから!!」
「ぅわーい♪ありがとぉッッ」
姉ちゃんはスキップしながら戻って行った。
俺はベッドの上で奴と睨み合っている。姉ちゃん、許せ…。コレだけは、お前みたいな恐ろしい女にはやれん…。そう、奴とは薄いピンクの紙袋のコト。
不覚にも逃走されたが、この子に貰ったチョコ。震える手でそっと小箱を出した。シュルシュルとリボンをほどいて蓋に手を掛ける。
開けてもいいのか…??俺はコイツを開けてしまってもいいのか??いや、いいに決まってる。あの時、俺は貰えって命令されたじゃないか。コレは俺んだ。頑張るのよ、哲希!!さぁ、開けちまいなさい!!
ごくっと生唾を飲み、そっと蓋を開けた。中には不格好な丸いトリュフが四個入っていた。その一つを指で摘んで口に運んだ。
「……うま」
トリュフは柔らかくて、甘かった。ゆっくり溶けていく…。自然と笑みがこぼれた。残りの三個も俺はあっちゅう間に食ってしまった。
―次の日―
俺はコノ子に、ちゃんと食べたコト、すげぇうまかったコトを伝えようと決意していた。
下駄箱で靴を履き替えているいると、人の気配がした。
「よぉ」
「はよぉ」
コノ子だ…!!アレ、おかしい。言おうとしてたのに、言葉が出てこない…しかも、緊張してきた。俺がモタモタしている間に、コノ子は整然と俺の前を通り過ぎて行った。オイ、ちょっと待てよ。言いてぇコトがあんだよ!!だけど、コノ子はもう直ぐ見えなくなる。男だろ、俺っ!!根性だ、根性!!
「あんさぁ…」
「ん??」
コノ子は立ち止まって振り返った。
「あの、俺食ったから。ちゃんと…うまかった。俺、チョコ好きだし!」
…言った。ちゃんと伝えたくて、俺はコノ子の目を真直ぐ見つめた。
「そっかぁ。なら良かった!!じゃぁ、教室でね」
ドッカーーン!!雷が落ちた。ヤベェ…。
俺は、コノ子が歩いていった方を見つめた。足が動かねぇ…。笑顔に…やられた。さっきのコノ子の笑顔は反則だろ!!今まで見たこと無い、すごく大人で綺麗な笑顔だった。
…俺、コノ子を好きだ。