女子小学生-1
マーヤの家は自営業だった。それは一種の介護であった。障害者や老人の排泄介助を主としたもので、登録された人の所へ出向いていくのである。所有する施設に入居の利用者もいた。
今年度、職業実習の係に当たっていた聡真は、マーヤの家の施設を候補の一つとして見学してみることにした。
施設には、さまざまな程度の障害者がいた。身障者だけでなく、知的障害者も一緒だった。老人もいた。これで問題はないのかと聡真はマーヤに尋ねたが、自分は家業に関わっていないし、興味もないから知らないと言う。
車椅子を押したり話の相手になったりする位の実習ならできるだろうと聡真が見立てをして、帰ろうかと思ったとき、小学生とおぼしき女の子が一人、中の方から現れた。親戚の子で、手伝いに来るのだとマーヤが言った。
少女は十二歳前後と見えた。真白い肌に空色の瞳、薄い金色の長い髪。着ているレモン色の服がよく似合っていた。聡真は忽ち見惚れてしまった。もちろんマーヤはすぐそれに気が付いた。
溌剌とした少女だった。マーヤと聡真を見かけると親しみを顔に表して微笑んだ。
「あんな子供が何の手伝いをするの。」
「先生、自分で聞いたら。」
マーヤは、嫉妬している自分を感じていた。突き放すように言ってみてから、寧ろ一切話をさせないほうがよかったとマーヤは後悔したが、聡真は嬉々として少女に近づいていた。
「こんにちは。マーヤさんの学校の教師で、廻田と言います。お手伝いなんだって?立派だね。」
「ヴィットリヤです。こんにちは。六年生です。」
ヴィットリヤの仕事を邪魔してでも知己になりたい気持ちに逆らえぬ聡真は、その知己になりがてら、予期せぬ話を聞かされた。教師だという安心もあったためか、初対面でも少女は明け透けに何でも話すのだった。
母子家庭で、幼い頃から裕福でなかったヴィットリヤの家族は、親類の、つまりマーヤの家族の世話になって暮らしてきた。
家族経営の陥る弊の例に漏れず、この施設にも管理の甘さがあった。忙しくなると、ヴィットリヤの家族が呼ばれる。そして、免許がなくても手伝いをする。ただ、それも排泄の介助に留まっていたから、危険を伴わない分、問題とされることなくこれまで続けてこられた訳であった。
ヴィットリヤは小学校に入るともう手伝いを始めた。最初は気持ち悪くて嫌だと思ったが、それもすぐに慣れて、手に付く人の便など、仕事の時なら一向気にならなくなった。
この施設が排泄介助の一環として行なっていた男性利用者の射精介助も、ヴィットリヤは手伝った。女性利用者よりも手入れが簡単だとの理由から、そもそも男性ばかりを任されてきた、言わば、その自然な発展としての流れであった。
「いつも男の人二十人くらいのお手伝いするの。」
ヴィットリヤの美しさに心を砕かれていた聡真は、今からこの少女がしようとしている行為に極度の興奮を誘われた。
「先生、帰ろう。」
マーヤがきつく諭した。確かに、いてもどうにもならないと自覚した聡真は、後ろ髪引かれる思いのまま、施設を後にした。ヴィットリヤは明るく手を振ってくれた。
施設を出ると、マーヤは横にある自転車置き場の裏で、聡真に男としての義務を果たさせた。マーヤにとってみれば、体で満たされていた思いに中身が無くなったような空虚感で、しかも愛の幻想に浸っていることに気付かされた衝撃があった。より多く愛せと体で嫉妬をぶつけてくるマーヤに、面倒な女だという意識が、以前と同じく、このとき聡真の脳裏をよぎった。不愉快さを怒りの動きに変え、女の腹の中を男は力一杯突き上げた。女の体は力強く突かれれば突かれるほど喜ぶのだった。