写真-1
ちづるは風呂からあがると、
ドライヤーをかける。
タクミはテレビを見ていた。
タクミに、
「先に寝るね。」と声をかけると、
タクミはテレビを眺めたまま
「うん。」と言った。
15分ほどして、
タクミも布団に入ろうと、寝室にきた。
ちづるは、寝ていなかった。
豆電球の部屋で布団に入り、
うつ伏せになりながら
スマホを見ている。
スマホの明るさで、ちづるが
微笑んでいたのがタクミに分かった。
タクミが声をかける。
「、 、寝てなかったんだ。」
、 、 、、
何 見てたんだろ
ライン ?
バーテンダーから、か ?
「あ、うん、、
もう寝るよー。」
ちづるはスマホを枕の横に置いた。
「、 、、何、見てたの?」
「んー? ふふ 、、写真。」
タクミも布団に入る。
「写真?」
「うん。」
「、 、、先生?」
「うん。
さっき、撮ってもらったの。」
「、 、、見せて。」
「、え?」
「ちづちゃんの目標の先生の顔。
見てみたい。」
敵の顔を 知っとくのも
悪くないな
、 、、なんちゃって
敵じゃない か
俺は エッチしてるんだし
全然 勝ってるっつーの
「、うん、 いいよ。」
ちづるはうつ伏せのまま、
スマホを持つと操作する。
タクミは手で頭を支え起こし、
待っている。
ちづるが、タクミにスマホを渡す。
「これが、先生。」
「、 、 、 、、」
っ、!
おい
なんだよ
これ
「、 っ、 、、 」
「綺麗な人でしょ?
、、ちょっと、女優の、
誰だっけ、えーと、、、
あ 、。
米沢涼子に 似てない?」
「、 、 、なにこれ、、」
「、え? ? 」
「なんで、抱きついてんの!?」
スマホの写真には
ちづると先生が写っている。
ちづるが
バーのカウンターらしき場所に、
はにかんで笑い、座っている。
先生は満面の笑みで、
ちづるの後ろに立ち
ちづるの肩に両腕で抱きついている。
「抱きついてるって、、、
なんか、変な言い方ー。」
「抱きついてるじゃん!
なんなの?
このシチュエーション!」
「、っ、、そんな、
変な意味、ないってばー!
、、っ、ぇーー っと、、
酔ってて、先生、
トイレに行ってー、、
戻ってきて、
そんで、、写真撮ろーって、
言われて、 」
「普通、抱きつく?
、、、っつーか。
そんで、その写真みて
ニヤニヤしてたんだー!
やらしー!」
「ニヤニヤ? してないよー」
「してたよ! さっき!
部屋入ってきたとき、超!
してた!」
「しーてーなーいー」
「してた! あれは、
エロい事考えてる顔だった。」
「、 、 っ !、、
、 、、、
寝よっか ? 」
「、 、、誤魔化した。」
「、、誤魔化してないよ。
眠いんだもーーん。」
そう言いながらちづるは、
タクミに背を向けて目を閉じた。
「抱きつかれた事、
考えてオナニーする。
ちづちゃんは、絶対に、しちゃう。」
「、、しないよー、 、、」
「あたしだけ見て
って言ったのに。」
「、 、、もーーー、 、、」
「俺が舐めた事、
思い出してオナニーしてるのに。
それだけじゃ、足りないんだ、、
ちづちゃんには、やっぱり、 、」
「、っ、んーーー、 、、」
タクミは、その後もずっと、
ブツブツ言っていた。
ちづるは、ウトウトしながら
タクミの独り言のような文句を
聞いていた。
「しつこい」と思う反面、
タクミの気持ちが
まだ近くにある事に嬉しさを感じ、
温かい気持ちになりながら
眠りについた。