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BLOOD LINE
【女性向け 官能小説】

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6-3

妻は今富岡にしたように、報告書を彼女に見せた。
自分の言葉で伝えるにはあまりに酷で、もはや結子に対する憎しみや嫉妬は消えていた。
偶然の起こした残酷さに、妻もまた強いショックを受けていたのだ。それでも、妻はノートを差し出し、今後一切夫、富岡亨とは会わない、と言う誓約書を書かせた。
「それでも会って関係を結ぶようなら、夫もあなたも動物と同じです」
震える声を抑え、そう言うと結子は「ご迷惑をおかけしました。もう二度と、会うことはありません」と答えた。
用意されたお茶には手を付けず、妻は部屋を出た。
「何も、そんなことまで」
「私にはする権利があるわ。本当は数日前までは、別れてもいいと思ってた。そんなにあの彼女がいいなら、私には勝ち目がないから」
でも、と妻は顔を上げ涙を拭った。
「赤ちゃんができたの」
「……え?」
「2ヶ月よ。高齢出産だからリスクが高いと言われたけど、どうしても産みたい。私には最後のチャンスかもしれないし、あなたの子よ?産みたいの」
富岡は椅子から立ち上がると妻のそばに寄った。
「済まなかった、本当に。おまえにも彼女にも、本当に済まないことをした。ごめん」
「私たち、やり直せるよね?」
涙に濡れた妻の顔は、神々しくさえ見えた。これが母親になる女の顔なのかと思った。
「ああ、大丈夫だ」
富岡は妻を抱きしめた。これで結子に会えば互いに迷いが出る。その迷いを断ち切るために、妻はあえて憎まれ役になったのだと悟った。


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