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BLOOD LINE
【女性向け 官能小説】

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6-2

『昭和XX年X月X日、横須賀市にて倉田美津子氏の元に生まれる。非摘出子。倉田美津子氏周辺の調査により、Aの父親は富岡亨二氏なる人物であることが判明。内縁関係であった倉田美津子氏と富岡亨二氏は――』

「うそ……だろ」
富岡亨二。富岡亨の父親と同姓同名であった。
「まさかと思って追跡調査してもらったわ。間違いなく、あなたのお父さんだった」
「ばかな。そんな……」
目の前の報告書が真っ白で見えない。キーンと鋭い耳鳴りがして、心臓を突き破るほどの動悸が彼を叩いた。
お前が抱いていたのはは同じ父の血が流れた妹。同じ血が流れた妹だ。

彼への罰はこんな形で下されたのだ。
富岡の父親は彼が小学生の頃にどこかで結子の母親と出会い、恋愛関係になり結子が生まれたことになる。
「ごめんね。こんなことを知りたかったわけじゃない。ただ、どんな人を好きになったのか、どんな生まれの人なのか知りたかった。取材で会った人とそんな仲になるなんて、記者として一番しちゃいけないことじゃない」
富岡には返す言葉すらない。むしろ、ここで感情的にならない妻が不思議に思えるほどだった。父親は結子を認知していない。その理由までは報告されていなかった。
「東京駅で二人を見かけた夜、どうしても抱いて欲しかった。あのまま離れて行ってしまいそうで怖かった、怖くてたまらなかったの。あなたにわかる?」
この時、妻の目から涙が溢れた。
「ごめん……本当に、ごめん」
積極的に自分を求めてきた妻の姿を思い出した。あの時、彼女はどんな気持ちでセックスしたのだろう。自分だけが苦しんでいると、そんな勘違いをしていた自分を殴りたい気持ちだった。
「結子さんと話したい?」
「い、いや。もう会わない。毎回これが最後だと、そう思いながらズルズルと来てしまったんだ」
「そうね。私も二度と会って欲しくない。だから、私が今日彼女に会って話して来たわ」
「会ったのか、彼女に」
妻はこくんとうなずいた。
妻が結子に電話をかけ、富岡の妻であることを告げると、結子は一瞬間をおいて「はい」と答えた。どうしても会って話したいと言うと、彼女は了承したと言う。結子は都内まで出て行くと言ったが、妻はあなたの所まで行くと告げた。
妻の意地もあったのかもしれない。
夫が短い間でも過ごしたその部屋を見ておきたかった。
猥雑な商店街の奥にある小さなパブの2階。6畳一間の小さな部屋に足を踏み入れたとき、妻の目に飛び込んできたのはシングルベッドだった。
ここで夫とこの女が愛し合っていた。その時ばかりは感情が爆発しそうになった。


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