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おしの洞
【ホラー 官能小説】

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嗤う女-3

腰が抜けんばかりに驚いた地主は、障子紙を放り出し一気に逃げ出した。
それから地主は神社に近づくことはなかった。伝え聞いた村人は地主の見間違えだ、いや娘を亡くしたことで気が振れたのだと噂しあった。そもそも赤ん坊を生かしておいたのは地主である。それが娘を失ったからと言ってこんな小屋に閉じ込めたらかわいそうだと言う事になり、ひっそりと村人たちが面倒を見ることにした。
不思議なことに、村人が面倒を見出してから好天が続き、田畑は潤った。恐ろしいほどのどか雪も降らず、貧しい小さな村は充分に潤って行った。
「あれは化け物なんかじゃなく、天女の生まれ変わりに違いない」
いつしか小屋は小さな住まいに変わり、村の女たちは幼い娘に着物を縫い、髪を梳いて身奇麗にしてやった。

村人が交代で育てた娘はいつしか美しい娘へ育っていた。
年の頃なら十二、三と言う頃、村の女が体を拭いてやるのをじっと覗き見する男がいた。
地主である。
恐ろしくなって関わりを持つなと触れて回ったにも関わらず、村人は天の恵みと言って娘を育て上げた。
村人の噂に「この世の者ではない美しさ」と聞いて、様子を見に来たのだ。
着物を脱ぐと、小さく膨らんだ乳房が見えた。うっすらと桜色の乳首は若さと清さの象徴のようであった。尻は熟す前の白い桃のようであり、恥部はまだふっくらとした白いままの小高い丘だった。肩で切り揃えた黒髪は、まさにからすの濡れ羽色。
あの不気味な赤ん坊が、こんな娘に。
まっすぐな黒髪に、墨を落としたような黒く大きな瞳、紅をさしたような赤い唇。
すでに六十を過ぎた地主でさえ、股間がむずむずと頭をもたげた。
体を拭いてもらうと、娘はちょこんとその場に座りまっすぐ前を見ていた。
「また後でおまんま持ってくるからな。待ってておくれな」
耳は聞こえているのか、娘はこくんと頷いた。開け放った戸の外を大きな瞳で見つめ、娘は動かない。地主はその落ち着き払った表情に薄ら寒さを覚えた。ずっと前、自分をじっと見ながらにやりと笑った赤ん坊の顔は今でも焼き付いている。その場を後にしようとして踵を返したとき、男の声が聞こえた。
振り返ると村の若い男が娘にそっと近づいて来た。
「今おめぇだけか?」
娘は頷く。男は辺りを見回し、懐から包みを出した。
「食え。おめぇのために俺が取ってきてやった」
柿を二つ見せる。娘が取ろうとすると、男はすっと引っ込める。
「なぁ、いっつもおめぇは貰いっぱなしだな。たまには何かお返しをしてくれねぇと、俺だってかかぁの目を盗んで来てるんだからよ」
そうだ、この男にはつい半年ほど前もらったばかりの嫁がいる。隣の村から来た貧農の娘で、不細工だが働き者のいい嫁だ。娘は小首を傾げる。
「おめぇはおしで、おまけにおつむの回りが悪ぃが、何しろべっぴんだからなぁ。ちょっとよ、ちょっとだけ乳を見せてくれよ」
娘はそれでも男の手元の柿をじっと見たままだった。男はじれたように娘に近づくと、用心深く辺りを見回し小屋の中に入って戸を閉めた。地主は喉を上下させると足音を忍ばせて小屋の裏に回り板の隙間から中を覗き見た。もう夕方近いが、明り取りから差し込む陽で薄暗いが中は見えた。
男は娘に向かい合い、着物の前を開き「ほー」と感嘆の声を上げた。
「きれぇな色だぁ」
男は娘を抱き寄せると、片手で乳房を揉んだ。
「これは後でやるからな」
柿を横に置くと、娘のあごを上げて口を吸った。娘は無抵抗だった。男は夢中で小さな口を吸い、鼻息を荒くして乳房を揉みしだく。男の荒々しい息遣いだけが聞こえて来た。
たまらくなった男は娘を仰向けに倒し、更に前を開いて小さな乳首を舐めた。
娘は手を伸ばし柿を取ると、ガツガツと噛り付いた。
「そんなもんが良けりゃ、また持ってきてやる」
着物を捲り上げ、足を開かせた。
「こりゃぁ……きれぇだ」
両足を高く揚げ、顔を突っ込んで娘の割れ目を舐めた。
このままだとあの男に手篭めにされる。地主はどうしようかと逡巡したが、気味が悪いと言ってもまだ子供でもあるし、やはり止めようと足元の石を放り投げて音を立てた。
ぎょっとした男は慌てて顔を放し、身を硬くしたが「また来るからな」と言い残して急いで小屋から出て行った。
娘ははだけた着物のまま、むしゃむしゃと柿を貪っていた。それからと言うもの、地主は小屋の近くまで来ては娘を見張った。
驚いたことに、娘の元に通う男は一人や二人ではなかった。すでに娘は村の男たちに犯されていたのだ。娘に悲壮感がないのは、自身がおもちゃにされている自覚がないからだろう。ある時は食い物で、ある時はつまらない玩具で釣られ、娘は簡単に体を開いていた。


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