特殊メイクの実力-3
ここまで顔を近づけても特殊メイクだと見破れない事へ改めて有佳の特殊メイクの技術は捜査に生かせる確信を得た若菜。さすがに声までは変えようがなかったが、なるべく静香に似たトーンで声を出す。
「しあわせそうね…若菜と…」
言葉は悪いが若菜に鞍替えして結婚した事に後ろめたさを感じた俊介は目を見開き弁明する。
「ご、ごめん!お、俺は静香以外と結婚する気はなかったんだ!で、でも若菜は俺を救ってくれた…。こうして刑事を続ける気になれたのも若菜のおかげだったんだ!そして本当は俺がしなきゃならなかった事を若菜にさせてしまった。若菜は…」
若菜は無表情で言葉を遮る。
「わかってる…。わたしも、ほかのおんなだったら…許さなかったけど、若菜なら…許す。あなたが結婚するなら、私がゆるせる…唯一のおんなだから…。」
「あ、ありがとう…。」
呪われるかと思った俊介はひとまず安心した。しかし若菜の悪戯は終わらない。
「でもしゅんすけ…、やっぱりオッパイが大きいほうがすきだったのね…」
「いっ!?」
「だって…若菜のオッパイを揉んでるときのしゅんすけ…とてもうれしそうだから…」
セックスまで見られていたのかと思い慌てる。
「そ、そんな事はない!静香の小振りなオッパイも好きだった!」
「…小振りでわるかったわね…」
「だーっ!怒らないでくれ!決して馬鹿にしてる訳じゃないんだ!静香のオッパイは大好きだった!男性署員憧れの的だった静香のオッパイを独占出来て最高に嬉しかったんだ!本当だ!静香のオッパイなら小さくてもデカくてもどっちでも好きだったんだ!でもいざ目の前に巨乳が現れたら…喜んでしまうのが男なんだ!若菜のあの巨乳を見せられたら、夢中になっても仕方ないと思わないか!?」
もはや何の弁明だか良く分からない俊介の言葉に可笑しくなってしまう。
「やっぱりおっきいオッパイがよかったんだ…」
「ち、違う!!た、ただ…男なんてみんな巨乳に憧れる生き物だろ!?しょうがないんだ!古来から男のDNAには巨乳好きが組み込まれてんだから!男はみんなオッパイ星人なんだから!!」
あまりの馬鹿さ加減にもはや笑いが堪えきれなくなった若菜は、思わず噴き出してしまった。
「プププ!馬鹿じゃん!?頭ワル〜!!」
「!?」
俊介は状況が理解出来ない。ポカンとしながらも懐かしい静香の笑顔に目を奪われてしまったのであった。