〈人外の戯れ〉-1
細長く狭っくるしい部屋の中で、携帯電話が着信を告げた。
数台のパソコンが並ぶ其所は、撮影した凌辱映像の編集と、顧客達と〈売買〉のメールをやり取りする部屋のようだ。
モニターには恭子の様々な姿が映し出され、如何にふしだらで淫乱な女なのか観る者に訴えるように編集されていた。
『……ん、この番号は“あのバカ”だな?』
一人の男が面倒臭そうに携帯電話を取った。
この態度からして、客が支払う金にのみしか興味が無いことが伺える。
『いよう!君からの電話を待ってたよぉ』
脅迫者は明るい声で応えた。
また一人、恭子の身体に金を払ってくれる客が増えたのだから、例え心にも無くてもその対応は当たり前といえば当たり前だ。
{あのさあ……フフッ…ついさっきまで奥さん…じゃなくて恭子がオ〇ニーしてたんだ……も、もう我慢出来ないみたいだったよぉ?}
『へぇ〜、あの奥さんが帰ってからオ〇ニーねえ?腰が抜けるまでヤッてやったのに、全く底無しのドスケベだなあ……』
常に男の肉体に飢えているよう、輪姦に満足した女体に再び火を着ける為に、淫虐なマッサージと僅かな悪戯を施した。
呆れるほどに乱れて生き恥を曝してしまう恭子は、今や脅迫者…いや、鬼畜達の完全な玩具という位置付けとなっていた……顧客に売るも良し、自ら抱くも良しの熟れた肉体は、人妻というエッセンスが加虐の興奮を纏わせて性獣達を誘う……。
{……僕が隣の部屋に居るって知ってて、わざと大きな声を出したんだよ……恭子って、寂しがり屋なクセに素直じゃないからね……きっと僕を呼んでたんだと思うな…違う、絶対そうだよ!}
天パ男は身勝手な思い込みを囁いたかと思うと、語気を強めた。
……今朝、恭子は自身を脅迫した男達に助けを求めた。
何故そこまでの事をしたのか、男は解った気がした。
だが、それがどうしたと言うのか?
顧客が恭子を『抱きたい』と思う感情と、それに見合う対価だけが鬼畜達には有益なのだし、その他の事など知ったことではない。
[欲しいなら売る]
ただ、それだけなのだ。