〈人外の戯れ〉-17
(こんな……こ、こんなコト…ッ)
女体に愛撫をしなければならない……それは数週間前までの恭子には考えられない事であり、恥辱である……この優しく撫でてくれる掌が、暴力に走らぬように懸命に舌を這わせ、細心の注意を払って前歯で甘く噛む……それは弘樹との蜜月の間に得た知識であり、鬼畜達から受けた凌辱の最中の屈辱でもあった……。
『あ…んんッ!とっても上手くて感じちゃうわあ……ねえ、私のオッパイ美味しい?』
「は…ひッ!お…美味しいです…ッ」
恭子の心の痛みを、その深い傷を理解しようとする者など居ようはずもなく、それを受け止めてくれるのは由香しか居ない……いや、そもそもが由香が恭子を獲物に選んだ瞬間に、この生き地獄は決定したのだ……。
『可愛いわねえ……ねえ、私のコトを“由香様”って呼んでイイわよ?「由香様のオッパイ美味しいです」って言ってみて?』
「ゆ…由香様の…お、オッパイ美味しいです……」
自分を更なる変態への道に引きずり込もうとしている女に、恭子は抗いもみせずに従ってしまう。
この今の光景を、畜人達はどう見てるのか?
拉致と脅迫を行い、度重なる凌辱を画策してきた鬼畜達は、どんな思いでいるのか?
そして、この映像をプロモーションビデオとして観るであろう、まだ見ぬ変態達は、恭子にどんな欲望を抱くのだろうか?
追い詰められた恭子には《今》しか無く、今日もまた行われてしまった淫欲の宴を耕二に秘匿する事を、バレずに明日を迎えられる事だけを考えていた。
『……いつまで甘えてんのよ、このメス豚ぁッ!!』
「あっぐぅッ!?」
優しかったはずの由香が突如として豹変し、いきなり恭子を引き倒して怒鳴った。
仰向けに倒された恭子は動転した眼差しを由香に向け、訳も分からず「お許しください」と許しを乞うた。
『オイ、チ〇ポ狂いのメス豚……なに私のオッパイしゃぶってくれてんのよぉ?』
「ひぃ!?あ…お…お許しくださいッ…お許しください!」
一歩を踏み出して恭子に迫り、眼前に鞭を突き付けると、いよいよ恭子は狼狽えて、教えられた謝罪を繰り返し叫んだ。
『フン……ちょっとは言葉遣いが分かってきたようね?……ねえ弘樹、そこに仰向けになりなさい……』
由香は四つん這いのまま静かに待っていたオヤジに声を掛けると、またも舌舐めずりをしてニヤリと笑った……それが次なる責めの前触れなのだと、今の恭子には分かっていた……。