謎の男-4
彼らは学校近くのコインパーキングに向かい、狭くて小さい東条の軽自動車に乗り込んだ。さっそく東条が秀慈に問いだす。
「秀慈君は何で君のお父さんを許せないと思っているんだ?反抗期か?」
秀慈はポツリ、ポツリと語りだした。
「僕は父の事を自慢に思っていました。父は完璧な人間で僕もああなりたい。そう思っていたんです。でもそれは間違いでした。」
「何か雨宮一馬について知っちゃったの?」
「ええ。その内容は言えないですけど、僕は父に対抗できる何かを見つけないとならないんです。」
「どういう意味だい?対抗してどうしようってんだ?」
「交換条件で絵茉をうちから逃がしてあげたい・・・。」
「絵茉ちゃんを・・・?もしや虐待してんのか・・・?」
東条の問いかけに秀慈は答えなかったが、東条は閃いたように言った。
「おい、秀慈君。俺たち協力し合わないか?」
「え?」
「俺のネタも絵茉ちゃんが関わっている。彼女の両親の死についてだ。」
東条はニヤリと秀慈に笑みを見せた。