呪縛の始まり-4
そして絵茉と一馬のいかがわしい関係が始まったのは、彼女がこの屋敷に来て2年後の事だった。絵茉は12歳になり、その身体が大人の女性へと変化する頃だった。
胸が少しづつ膨らみ始め月経が始まると、もともと美少女だった絵茉の雰囲気にどんどんと色気が混ざりだす。四肢もしなやかに伸びてくると、その姿はまるで生きた人形のようだ。長い睫に、大きな瞳、すっと通った小さな鼻、血色の良い赤い唇に卵型の小さな顔。彼女は誰もが振り向く美しき少女へと成長した。
そんな絵茉を一馬が放っておく訳はなかった。
ある昼下がり、一馬は海外出張から戻ったばかりで自宅で一人休養していた。
そこへ中学での初めての試験を終えた絵茉が屋敷に帰って来る。一馬の一人息子である秀慈は当時15歳の中学3年生で同じく試験を終えた後、友人たちと遊びに出かけていた。一馬の妻、春花は二人の通う中高一貫の名門私立学校の役員会議で不在だった。
この広い屋敷には絵茉と一馬の二人きりだった。
一馬は大広間のソファーに腰を掛けて経済新聞を読んでいる所に、絵茉が通りかかった。
「お帰り絵茉、久しぶりだね。元気だったか?」
その頃、この家庭にも少しづつ馴染み始めていた絵茉は笑顔で答える。
「はい。おじさまこそお帰りなさい。私は元気ですけど、おじさまの顔色の方が少し悪いようですよ。」
と言いながら、絵茉は一馬の顔を覗きこんだ。その瞬間、一馬の心臓がドキリと音をたてた。目の前の絵茉の瞳から目が逸らせない。自分の気持ちを振り払うように一馬は続けた。
「そうかい?あんまり寝ていないからな?」
「じゃあ、夕食までゆっくり休んでくださいね。私は部屋に戻ります。」
絵茉はそう言うと階段を昇り、部屋へと上がっていった。一馬の心拍数はまだ上がったままだった。いくら色気があると言っても、あの子はまだ12歳の子どもじゃないか・・・。
初めからあの子を・・・あの子を引き取った時から、いつかこうしようと思っていたではないか。でもまだ早い。もう少し待つんだ。
そう自分自身に言い聞かせても、彼の下半身はそれを認めなかった。