第21話-1
〜第21話〜
槇村は美香が絶頂を迎えた事を悟るとゆっくり指を引き抜いた。
「ふふっ。イッたみたいだね。愛する旦那の前で・・・平山くん、本当は起きてて寝ているフリをしてるんじゃ・・・」
もしこの状況で目覚めていたら、寝た振りをするはずがない。
愛する妻を。そして上司を問い詰めたであろう。
それでも槇村の言葉は効果絶大で、絶頂の余韻に浸っていた美香は一気に現実へと引き戻され、慌てて浩二の顔をのぞき込んだ。が、聞こえてくる熟睡している時の規則正しい寝息に安堵した。
「なかなか起きないですな・・・早く起きないと君の奥さんに、もっと気持ちいい事しちゃいますよ・・・」
この一言で次は指ではなく肉棒が入ってくると確信した。
美香は、いくらなんでもそれだけは避けなければという僅かに残っている理性と、ここで肉棒を受け入れる事を期待している大きくなっている斉藤に開花させられた本性と2つの相反する感情に揺さぶられ戦っていた。
薬で眠らされている事など知らなくても一度眠ったらよほど大きな音さえしなければ起きない事を一番良く知っている。
さっきの音で起きないのなら・・・自分さえ大きな声を我慢すれば・・・
もう既に裏切っているではないか・・・何を今更戸惑う・・・
食事中の恥辱責めや言葉責めに加え、指で絶頂させられた美香の身体が、心が、性がもたらす快感に支配されていく。
美香はしばらく目を閉じ、やがて1つの答えを導き出すと閉じていた目を開き、一瞬浩二の寝顔を眺めると、槇村にお尻を向け四つん這いだった身体を起こし、すぅっと立ち上がると振り返り槇村を見つめた。
その表情にはさっきまでの怯えなどなく、斉藤宅で見た時よりも遥かに妖艶で槇村が言葉を失う程の雰囲気を醸しだしていた。
美香のあまりの豹変振りに言葉を失ったままの槇村の首に自らの腕を巻きつけ、背伸びをすると耳元で囁いた。
「槇村さま・・・今度は私がここでご奉仕させて頂きます。よろしいですか・・・?」
「あ、あぁ・・・」
未だ圧倒されたままの槇村は声を出すのがやっとだった。
斉藤に仕込まれた通り、ワイシャツのボタンを上から順に外していき、
全てのボタンを外し終えると、首にキスをしそのまま舌を這わせゆっくり膝を曲げ乳首の方へと近づいていく。
形勢逆転したようにされるがままの槇村はこの清楚で大人しそうな女をここまでに仕立てあげた斉藤に大きな敗北感を味わっていた。
と同時に、自分が今まで調教してきた女など足元にも及ばない、妖艶な表情で自分の身体に舌を這わせている極上の女を夫である浩二からではなく、斉藤から奪いたいとも思った。
片方の乳首を丹念に舐め、もう片方の乳首は唾液で濡らした指を宛てがい撫でていく美香をどうやってあの斉藤から奪うか思考を巡らせた。
斉藤はある目的の為、眠らせた浩二の前で美香を絶頂させる計画を立て槇村に譲ったのだ。
再び二人を自分抜きで会わせるなど考えられない。
ましてや、斉藤の目を盗んで密会するのも不可能に近い。
二人の縁を切らせるには自分の肉棒で斉藤よりも狂わせる以外にない。
そう、略奪する機会は斉藤公認で美香を抱くことができる今夜しかないのだ。
槇村は舌を這わせながら上目遣いで見つめてくる美香と目を合わせながら、浩二が居ては美香を快感に集中させよがり狂わせる事はできないと考え、どうやって別の部屋へ移動するか模索していた。
自分の欲望に溺れた槇村は、指で絶頂を迎えた直後に浩二の前で肉棒による快感を与え美香にさらなる罪悪感や背徳感による絶頂を味合わせるという本来の目的を忘れてしまっていた。
へその辺りでようやく舌を離した美香は膝を付きベルトに手を掛けた。
慣れた手つきで緩め、ズボンを下ろした。
美香の愛撫によって勃起した肉棒は露わになった紺色のブリーフを苦しそうに押し上げていた。
それだけでも浩二のよりも遥かに大きい事は明らかだった。
さらにその先を見ると先走り汁のせいか色が濃くなっていた。
「槇村さまのここも・・・濡れてますよ・・・」
浩二には言った事のないセリフで槇村を興奮させる。
その濡れた部分を人差し指で撫で回していく。
「あぁ・・・気持ちいいよ・・・奥さん・・・」
「奥さんは・・・やめて下さい・・・今だけは槇村さまの女ですから・・・美香って言って欲しいです・・・」
さらに愛おしそうにブリーフの上からチュッと先端に口づけをし舌を這わせた。
今だけは。その言葉の持つ意味を槇村は悔しい気持ちで受け止め、これからも。と何としてでも言わせようと決意した。
「んんっ・・・たまらん・・・美香・・・直接舐めてくれんか・・・」
「美香って呼んでくれて嬉しいです・・・槇村さま・・・」
槇村が美香を自分のモノにしようと作戦を練っている最中、美香の方がいち早く作戦を立てそれを実行していたのだ。
槇村は一度果ててしまえば斉藤と違ってすぐに復活するわけではない。それは昨日の事で明らかだった。いくら快感に溺れようとも、浩二が寝ていようと、この場で肉棒を受け入れる気にはなれなかった。
斉藤との関係が既に浩二への裏切り行為なら、槇村の肉棒を受け入れたとしても浩二に対する裏切りは変わらない。
それでも美香はわざと妖艶に振る舞い口で奉仕する事を決めた。
上目遣いのままブリーフの両端を持ちゆっくり脱がせていく。
浩二のモノとは比べ物にならない年齢を感じさせないそそり立った肉棒を前に、新たな愛液が溢れ、今すぐ激しく突かれたい衝動に駆られた反面、この作戦を選んで正解だと思った。