軽井沢の女-5
「じゃあこのまま続けようか?」
ようやくタバコを吸い終えた村田が問い掛けると、たった数分程度なのに、何時間も焦らされていたかのように鈴は早く責めてとせがんだ。
キャスターのついた真田の手作りの三角木馬を部屋の中央まで移動させ、そっと鈴を抱き上げると木馬に跨がらせた。三角の角の角度は30度。松の木で作られたそれは、かなりの時間を経てがっしりと重厚で、角を丸める加工がしてあるもののかなりの鋭角だ。
体重がかかった途端に鈴の顔は苦痛に歪み絶叫を発した。
松の木のやい刃は縄の結び目を鈴の割れ目の中に一気に押し込み、尚も体を真っ二つに引き裂かんばかりに可憐な割れ目に食い込んだ。
長めの絶叫のあとしばらく呼吸が出来なくなってー瞬静かになったが、前のめりになったあとすぐに今度は後ろにのけぞり、再度血を吐かんばかりに絶叫を始めた。痛みから逃れようと体を動かすと逆に痛々しいまでに木馬は小さな割れ目を痛めつけた。体をこわばせる程にさらに縄は細い鈴の体を締め付ける。
顔をしかめ、目を閉じて必死に耐えていたが、やっと目を開き、なんとか呼吸を整えようとハッ、ハッっと息をしたが、一分二分と時間が経過しても痛みに慣れるどころかますます激痛の度合いは増すばかりだ。折り畳まれたままのニ本の脚は不安定にぐらつき、少しでも気を抜くと体が揺れてしまい、そのたびに鈴は絶叫を繰り返した。
ここで村田は竹製のムチを取り出す。
これも真田の手作りで、もうそう竹を自分で切ってきて、ーカ月乾燥させ、幅|センチ厚さ3ミリ程に切り、何度も丁寧にペーパー懸けをし、それを10本束ねて直径3センチほどの竹ムチにしてある。節の部分もサンダーとペーパーできれいに磨き上げ、丹誠込めて作り上げた一品で、今でも鈴が自分で手入れをして大切にしている真田の形見のひとつだった。薄く削り込まれた竹は適度にしなり、空気を裂く音とバシッと体に当たった時の音が鈴を心理的にも高ぶらせる。何度も丁寧にペーパー懸けをして角を丸めてあるので、打たれた所が赤く変色することはあっても肌が傷つくことは絶対ない。
鈴に対する真田の思いやりを感じる、そして鈴の最もお気に入りの責め具だ。
長さlm程のその竹ムチを手に村田が木馬のそばに立つと、鈴は涙目で村田を見つめた。その潤んだ瞳は、
「お願い、もう許して。」と訴えているようにも「早くそれで打って。」とせがんでいるようにも見える。
実際鈴の心の中ではその両方の気持ちがあった。村田もいつもこの時点でためらいを生じ、少し残酷すぎるのではないか?と思ってしまう。しかしこの究極の苦痛を乗り越えなければその先にある絶頂感にたどり着けないことは二人共よくわかっていた。
まさに心を鬼にして、村田はまず尻に竹を振り下ろした。
「あああっ!」
鈴はより一層顔をしかめて天井を仰ぐ。
いつも最初の一発目が一番きつく感じる。やや間を置いて二発目三発目と続け、四発目は腰、五発目は腹に打ち込んだ。筋肉で引き締まった細い腰は乾いた破裂音と共に竹を勢いよく弾き返す。
鈴の絶叫は辺り一面の森林にまで響き渡り、竹ムチが振り下ろされる度に体をよじらせ、よじらせればよじらせる程、更に木馬の角は無残に鈴の割れ目を痛めつけ、絶叫が絶叫を招く。
そしてついに村田は絞り出された乳房を打った。
「はうっ!」と鈴は思わず激しく前のめりに傾き、その瞬間股間に接している木馬が後ろに少しずれ、乳房の痛みと共に更なる激痛が股間を襲う。
「ぎゃああっ!」
悲鳴をあげてすぐにのけぞり、またもや長い髪が宙を舞に円を描いた。
それから正確にニ秒間隔で腕や太ももも含めて全身まんべんなく打ち続けると、全身から油汗が出始め、白い体はヌラヌラと光りだす。不安定な体制でムチ打ちに耐え、ふらつく度に木馬は股間を襲う。
「イヤッ、もうダメ、裂けちゃう!」
鈴はついに涙を流し弱音を吐いた。しかし今ここでやめて木馬から下ろしても、あとには痛みしか残らない。
「本当にやめてもいいのかい?」
手を休めずムチを打ちながら村田が尋ねた。答えが返ってくるまで暫く間があったあと、襲いかかる激痛に悲鳴をあげつつも、しっかりと首を横に振った。
悲鳴に交じってすすり泣く声が大きくなっていく。鈴にとっても村田にとっても一番辛い時間だ。頬を伝う涙は体をくねらせる度に辺りに飛び散り、竹ムチを握る村田の手の甲にも落ちた。