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軽井沢の女
【SM 官能小説】

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軽井沢の女-6

(もう少しだよ鈴、もう少しだから頑張れ。)
心の中でそう声をかけながらも、今年61歳になる村田にとってもこれだけのムチ打ちは体力的にかなりきつい。お互いに辛い時間がジリジリと過ぎていった。
鳥の声と木々の葉擦りの音しか聞こえない静かな別荘地に、鈴の号泣と絶叫は数十分間も響き渡った。
やがて竹ムチを避けるようにくねくねとよがっていた柔らかな肉体は、やや弓なりの姿でピタリと動かなくなる。天井を仰ぎ、目を閉じ呼吸も涙も止まっている。全身の筋肉をこわばらせ、いくら打っても竹ムチを弾き返してくる。
やがて半分開きの唇からは、さっきまでの苦痛の叫びとは違い艶を帯びた甘い喘ぎ声が漏れ出した。
「そうだ鈴、もっと感じるんだ。」
そう言いながらも、腕がかなりきつくなってきた。もう何十発、いや何百発打ってきただろうか。鈴の喘ぎ声は快感に満ちたものにどんどん変わっていく。今ここでやめる訳にはいかない。動きをとめていた鈴の体は再びユラユラと揺れだした。
(もう少しだ。もう少しだ)
村田は自分自身をも励ましながらムチを振リ続ける。
「もっと打って!もっともっともっともっと打って!」
ムチのリズムに合わせて鈴が叫びだした。自ら腰を前後に振リ、木馬に割れ目をこすりつける。
「いいっ!イクッ!」
どれくらい時間が経っただろうか。全身ひきつらせて鈴絶頂に達した。
村田はというと、鈴をイカせた達成感と共に床にへたり込んでしまった。ゼエゼエと荒い息を吐き、全身汗だくになってしまっている。
(キツイなあ、いつまでしてあげられるかわからんぞこりや。)
へたり込んでいる場合ではない。一分間程絶頂に達したあと、徐々に体の力が抜けていき支えてやらなければ木馬から落下してしまうのだ。
、三角木馬に跨がった鈴は顔をまっすぐ天井に向け、目を閉じ、時々体をピクピクと痙攣させさせながら幸福の頂点に昇り詰めている。ムチ打ちたれた全身は赤く染まり、ろうそくの粉がこびりついている。
村田は疲れた体をやっとのことで起こして、静かに崩れ落ちてきた鈴の体を受け止め、ゆっくりと持ち上げてソファーに横たえて細い体に施された縄をほどいていった。さすがに今度はそれを拒みはしなかったが、余韻を楽しむように目を閉じたままの美しい顔は肌から縄が離れる瞬間のピリッとした痛みを感じとって幸福に満ちている。
全ての縄をほどき終わると、自由になった手で縄目がしっかりとついた肌を自ら撫でまわし、うっとりとした顔で村田と眼を合わせた。
「どうだい、よかったかい?」
村田がそう訪ねると、鈴はソファーに横たわったまま少し照れたような顔で上目使いこくりと頷いた。
月に一度はこの別荘を訪れている村田は勝手知ったる他人の家、奥の洗面所から大きめのバスタオル持ってきて鈴の体にそっとかけた。
「体が動くようになったらシャワーを浴びてきなさい。」
そう言うと今度は台所へ入り、熱い茶をいれなおしてリビングに戻り、鈴の小さな湯のみ茶わんに注いで自分も大きな湯飲みに注ぎ入れた。
「ごめんなさい、私が…」
鈴が慌てて体を起こそうとしたが、うっ、と唸って起き上がれずにいる。全身の肌はもちろん、関節までもが痛むらしい。
「いいんだよ、ゆっくりしなさい。」
村田はそう言って熱い茶をすすった。
見渡す限りの広い庭は何事もなかったように静まり返り、よく手入れをされた眩しい緑の芝生を眺めながら、村田は茶をすすり、ふうっと一息ついた。
少し暑く感じたが、梅雨時にしては珍しく湿気がないので心地良い汗をかいた。
ようやく体が動くようになった鈴は、それでも少し痛みに顔をしかめながら体を起こし、バスタオルを巻いてソファーに座り直した。再度村田は鈴にシャワーを浴びるように促し、茶をもう一杯飲み、タバコを一本吸う間に、鈴はすっかり体にこびりついた蝋を落とし、元の白い裸体になって戻ってきた。


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