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『Twins&Lovers』
【学園物 官能小説】

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『Twins&Lovers』-48

第5話 過去との邂逅

 夏休みも最終週。秋の気配を感じさせるのは、夜に響く虫の声。
「あ……ンふ……」
 だが、二人にとって、まだまだ熱帯夜は続く。
「あっ、あっ、あっ、あっ………やば……も、もう………」
 勇太郎の背中に廻した手に力がこもる。ひとみのエクスタシーは近いようだ。
「大丈夫……」
 勇太郎は、切なげに眉を寄せるひとみに優しくキスを贈る。そして、やおら、猛然と腰を振りたてた。もっと、愛しいひとみを、躍らせるために。
「ひあっ! あっ、あんっ、んあっ、あくっ!」
 そして、高まっていくひとみ。もう、官能を抑えることなどできはしない。
「あはっ、あんっ、あんっ、んんっ、っク、イ――――!」
 最後の言葉は、勇太郎の唇に奪われた。それが、きっかけのように、快楽の最終到達点に身を躍らせ、ひとみの四肢は震えた。



 私立城南大付属病院。それが、勇太郎の祖父・安堂郷吉の入院している病院の名だ。
 私立城南大付属病院。それが、ひとみの祖母・安堂弥生の通院している病院の名だ。
 つまり――――。
「同じ、病院だったんだ」
 初めてそれと知ったひとみは、そういえば、勇太郎の身の上について、あまり話をしていなかったと気づく。
彼の祖父が、小説家<安納郷市>だと知っていて、その小説を愛読しているひとみだったが、勇太郎の祖父・安堂郷吉については、なにも聞いていない。
「ちょっと、重い病気らしいんだ」
 そう言った勇太郎の瞳は寂しそうだ。
その頬に唇を寄せるひとみ。これが、なにかの慰めになるとは思わないが、こんな顔の勇太郎は見たくはない。
「お話は、できるんだよね」
「うん」
 ひとみは、言葉を続けた。
「お見舞いに行ってもいい?」
「え?」
「お話、してみたい。勇太郎のおじいちゃんと」
 ひとみの目は、好奇心で溢れている。それが意味するものは、何か?
「逢ってみたいの? “安納郷市”と」
 うっ、とひとみが息を呑む。図星のようだ。
「べ、別に、そういうわけじゃ。やっぱり、勇太郎の、おじいちゃんだし、その……あは」
 ますます深みにはまるひとみ。そんな仕草が、おかしくてたまらない。
「まあ、今さらひとみに隠すようなことじゃないもんね。それに……」
「ん?」
「きっと、喜んでくれるよ」
「………」
「熱烈な、ファンだから」
 ぼ、とひとみの顔が火を噴いた。恨めしげな顔つきで、勇太郎に毒づこうとする。
 が、その言葉を唇で奪い、勇太郎は愛しい人を抱き締めた。
「ごめん」
「もう……いじわる……」
「でも、そうじゃなくても喜ぶよ」
「ほんとに?」
「ひとみは、大事な孫の、もっと大事な人だから」
 我ながら、キザな言いまわしだとは思った。……が、効果は絶大だったようだ。
「勇太郎……」
ぎゅう、とひとみがしがみつき、自分の胸を押し付けてくる。それは、おねだりの合図。
今日は、調子がいい。勇太郎は答える代わりに、がば、とひとみを抱き伏せて、その体をまずは胸から愛し始めた。


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