『Twins&Lovers』-34
「なんかさ…ひとりになりたくなかったんだ」
「え?」
「なんていうのかな」
しばらく、思案顔のまま時を止めた勇太郎だったが、すぐに二の句をつなげてゆく。
「さっき、抱いたのはひとみの身体だけでさ……ココロを置き忘れていたなあと思って」
「勇太郎……」
求めたのは、自分からだった。だから、ひとみには何もいえない。
そんな、沈んだ様子のひとみを、勇太郎は髪を撫でることであやしてあげる。ひとみは、そんな勇太郎の優しさに、素直に甘えた。
「ひとみを、責めたりなんかしないよ。したいって気持ちは、僕にだってあるんだから……。ただ、ひとみのことを好きで、大切にしたいっていう気持ちも忘れたらいけないと思ったから……」
さっきは、それが中途半端だった。と、勇太郎は続ける。
確かに、快楽だけをいうならば、今までのセックスの中でいちばん気持ちが良かった。でも、終わったあとのひどい喪失感は、初めて抱いた感情だった。それは、そのセックスが、快楽のためだけに終始してしまったことを示している。
「それで、恐くなっちゃって。ごめんね」
だから、ひとみとこうやって、触れ合いたくなった―――。そういうことらしいのだ。
(勇太郎……)
こんなに、自分のことを大事に思ってくれる勇太郎。そんな勇太郎に、気持ちのいいことばかりを求めすぎていた自分が、情けなく思う。
ひとみは、勇太郎を見上げた。目と目が合う。
引き合うようにして、二人の唇は重なった。昼間の、情熱的なそれとは全く違う、軽く触れるだけのキス。それでも、とても暖かくて気持ちが良かった。
「勇太郎………好きよ」
そう言って、もう一度、唇に触れる。長い、長い、口による絆の交わり。
「きゃっ」
ひとみが声をあげた。背中に、何か固いものが当たったからだ。
「………偉そうなこと言って、これだもんな」
勇太郎は、バツが悪そうに項垂れた。彼の股間は、しっかりと盛り上がり、しなくてもいい準備を万全にしてしまっていたのである。
「うふ、かわいい」
ひとみは、もっこりと膨らむその部分に、愛おしさがこみあげてきた。
「ね、勇太郎のこと、もっと愛してあげる」
「え?」
ひとみは、そのまま、勇太郎の股間にあるものを取り出す。そそりたつ肉の塔を、ひとみはそっと両手で包んだ。
「んっ、ひとみ……」
そして、大事なものを愛でるように、優しく、優しく竿をさする。そんなひとみの顔は、昼間のそれとは違い、とても満ち足りた表情をしていた。
ちゅ、と鈴口にキスをする。そして、そのまま口を開いたかと思うと、勇太郎のものを口腔内に含みいれた。
「わ、わわ………」
膣とは違う、生暖かさが勇太郎を包む。愛撫してくれる舌の動きが、更なる高ぶりを勇太郎に贈る。
「ン…ンふ……ちゅ……ンム……」
ゆっくりと、ゆっくりと頭を前後するひとみ。熱い吐息が、陰茎に絡み付いてとっても気持ちいい。
勇太郎は、お返しとばかりに、ひとみの髪を優しく撫でた。ひとみは、咽喉を鳴らして、その行為を喜ぶ。そして、ますます、深い情をもって、勇太郎のものを愛するのだ。
速い動きと遅い動きを巧みに使い分け、勇太郎を懸命に愛する。その献身的な姿は、勇太郎の心をも愛していた。
「く…ひとみ……そろそろ…」
腰からやってきた痺れが、竿を通り、先端に集まっていく。勇太郎は、ひとみの口から自分の分身を抜こうとした。