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『Twins&Lovers』
【学園物 官能小説】

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『Twins&Lovers』-33

 ざぶ、とバケツにひたした雑巾を絞り、あちらこちらを拭く。それを何度か繰り返して、ようやくきれいになる護身術同好会の部室。
「………」
 体操服に身を包んだその当事者は、耳まで真っ赤にしている。
 勇太郎もまた、ジャージ姿に変化していた。
「ご、ごめんね」
 ひとみが、消えそうな声で謝る。そんな、ひとみに対して、勇太郎はあくまでも優しい。
「いいんだ。僕もちょっと、ひどかったから」
 あんなに、後背位が極上のものだったとは。相手に、獣のようなスタイルを強要するので、勇太郎はなるべく敬遠していた体位だったが、一度、あの味を知ってしまうとやみつきになってしまいそうだ。
 しかし、問題がひとつ。
「中に、出しちゃって……」
 気持ちよさのあまり、豪快にひとみの中で果ててしまったのだ。
失禁してしまった彼女の小水でズボンが濡れたことなど、それに比べれば瑣末事だと勇太郎は思う。
「今日は……だいじょうぶだよ」
 拭っても、拭ってもあふれてくる白濁液を、タオルで拭いながらひとみは微笑む。
「でも……」
「ほんとにいいの。うれしかったもん。……勇太郎こそ、いやじゃなかった?」
 勇太郎の声に発情して、部室に連れ出して、自分からキスして、求めて、指でイって、勇太郎のを舐めて、後ろから突かれて、挙句の果てにおもらし……。
思い返すだに、今日の自分はひどすぎる。
「そんなことないよ。その……すごく、気持ちよかったから……」
 ひとみの唇の感覚、舌の感覚、膣の感覚。その全てが、今日はあまりに刺激的だった。
「ひとみのこと、好きだから……いやになることなんて、ないよ」
 勇太郎は、きゅ、とひとみを抱き締めると、唇の触れるだけのキスを贈る。
「勇太郎……」
 潤んだ目は、勇太郎の優しさにほだされた、感激の涙だ。
「でもさ。後片付けが大変だから……」
「う……」
「なるべく、家でしようね」
「そう、だね」
 ひとみが、泣き笑いながら、舌を出した。
床に散らばったひとみの粗相の掃除、濡れて汚れた制服はポリ袋に詰め込んで(黒色の)、自分たちは体操着姿。
見境なく乱れ狂った代償は、ちょっとばかり面倒な事態と、その収拾に要した作業の気疲れであった。





「ウチに来ない?」
 勇太郎がひとみを誘ったのは、その日すぐのことだ。あれから、とても勉強の続きができるような状態ではなかったので、家に戻ることにした。
洗濯をしようとしていたときに、勇太郎から電話があったのだ。
 洗濯機を廻してから、ひとみは呼ばれた隣家へ赴き、呼び鈴を鳴らした。
「ああ、ごめんね」
「どうしたの?」
「お茶、しようと思って」
「それなら、ウチでも良かったのに」
「ま、たまにはいいじゃない」
「?……それじゃあ、お邪魔するね」
 既に用意されていた湯飲みには、熱い緑茶が注がれていた。そして、お茶請けは大福もち。
「……なんだか、和風」
「<とみや>の草大福。おいしいんだ、これが」
「ン………ふぅん、ほんとだ」
 二人は、しばらく穏やかな時間を過ごした。
「ひとみ」
 扇風機の風に当たりながら、気持ちよさげに目を閉じていたひとみの背中を、勇太郎はそっと抱き締めた。
「わっ、ど、どうしたの?」
「好きだよ」
 そういって、頬を寄せる。ひとみは、体中の血が、また官能のうねりに飲み込まれそうになる。
「ま、またするの?」
「んー、ひとみがしたいなら…」
「それ、ずるい」
 ひとみがちょっと拗ねる。
「そうだね、ごめん」
 そう言って、抱き締める腕に力を込める勇太郎。彼の意図がわからなくて、どぎまぎしたまま言葉を待つひとみ。


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