〜 火曜日・尿道 〜-3
「……うう……ひい……ひッ」
一生懸命動くまいとしているのは、わかる。 それでも30番が止まっているとは言い難く、声も抑えているのだろうが、よく洩れる。 観衆役の生徒たちに統制がとれているだけに、30番の自律の未熟さが浮きだってしまう。 22番を筆頭に、初日を全うした経験の有無は、私の想像以上に大きいようだ。
「あっ、あふ……うぅぅ〜〜」
「……全く」
時折喘ぎすら漏らされては、黙っていろといった手前、私も苦笑するしかない。 単純に経験値でいうなら、補習を乗り越えた30番は誰よりも排泄系に強いはずだが、如何せん規律面の未熟さを考慮していなかった。
そうはいっても、彼女を見本に1日を過ごす予定を変えるつもりはない。 ならば、いきなり他の生徒なみに自制を要求することが無理なら、いっそ自由を許した方が、クラス全体に効果があるのではないだろうか。 不都合が目立ってくれば改めればいいだけで、場合を限って規律を緩めるくらいの権限は、担任の私に属している。
「しょうがない牝ね。 堪え性がないのはよおく分かりました。 黙っていれないのなら、今の感覚を表現しなさい」
「ご……ごめんなさい。 あくぅ……」
「どんなことを感じているか、と聞いています」
「あっ、あの……い、インチツの奥で、感じます。 ごめんなさい」
私は大きくかぶりを振った。
「しかも言葉遣いが幼く、語彙も貧困ときては……。 もっとも、そういう飾らない表現も、時と場合によっては良とすべきなのかもしれません。 『ごめんなさい』だけ答えつづけることで、感じさせるものもあることは認めます。 しかしねえ」
「うう……ごめんなさい……」
ロッドを出せば膣の上に備えた穴がめくれ、入れればイソギンチャクのように縮ませる。
「もう結構」
もちあげた腰を震わせながら喘ぐ30番なら、苛まれる身体をどう表現するだろうか。 股間にロッドをさしたまま、教壇を回り込んで30番の瞳を見つめる。
怯えた兎のような。 それでいて必死な、充血した赤い瞳。
「30番。 お前に特例を認め、終わりのHRまでの間に限り、作法にそぐわない言葉遣いを認めます。 返事も、本来なら『インチツの奥で理解します』と告げるべきところですが、制限しません、お好きに応えなさい」
「えっ? あ、あの……」
「ですから、言葉遣いで指導することは止めます。 ここからは、尋ねられたことには、素直に思ったことを答えなさい。 揚げ足をとりましませんから。 お分かり?」
「あ、あのっ……それは、つまり、何を答えてもいい、ということですか?」
恐る恐る尋ねた30番に、大きく頷く。
「答えが間違っていたら、また補習室につれていかれるんじゃ……」
「そういう指導はしない、と言っているんです。 今日に限っていえば、頭が悪いお前でも、真剣に取り組めば許してあげます。 1日遅れて、本来であれば学園を去ってもおかしくないお前を、教室に馴染ませてやろうとしているんです。 さらに補習なんてナンセンスなくらいわかるでしょう」
「えっ……あっ、はい。 い、インチツの奥で理解します」
「今日だけは『ハイ』で構いません」
「は……はい」
補習室ではなく、講習室だが、そんなことは問題ではない。
噛んで含めるように、30番に私の意図を説明できればいいが、それをしてしまってはクラスの指導と決定的に矛盾する。 『状況を察する』ことが最も求められる能力なのだ。
「ただし、答えない自由は認めません。 質問されたら即座に返答すること。 答えることすらできなかった場合は、指導せざるを得ませんよ。 状況によっては、また別の講習室に連れていくことになるかもしれません」
「い、いやです! ぜ、絶対にいやあ……」
「そうなりたくないなら、真剣に取り組むことです。 躊躇も沈黙も、私の意にそぐわない点では同じで、まさにそこが指導のポイントなんですからね。 お分かり?」
「はっ、はいぃ! 分かりました!」
「宜しい」
コクコクと糸が切れた操り人形よろしく頷く30番を尻目に、突き刺さったままのロッドに手を伸ばし、『ハンド』を外す。 これで尿道奥までエボナイト棒がささり、根本からロッド内部の管が見えた格好だ。
尿道のトレーニングは始まったばかり。 発言の自由が与えられた30番が、どのような実況で自分の恥部を表するのか、私自身も興味がでてきた。