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調教学園物語
【調教 官能小説】

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〜 号令 〜-1

〜 号令 〜



 すべてを終えた30番に、半ば無理矢理流し込むように治療用の錠剤を含ませてから待つこと約10分。 1日中肉体と精神を限界まで追い詰められたというのに、錠剤数粒だけで体力と気力を蘇らせるのだから、現代の頓服(とんぷく)には敬意を払わざるを得ない。 
 意識混濁の朦朧状態を脱し、私の姿を認めた30番は、たちまち涙を溢れさせた。 基本的に生徒には指導の展開を教えることはないため、きっと、更に過酷な状況に追い込まれると考えたのだろう。 首輪にリードを繋いで教室へ連れていく間、ずっと声を殺して泣き続けていた。
 
 『これ以上の補習はありません。 今朝から教室に合流しなさい』と告げたとき、四つん這いで俯きどおしだった彼女の肩が、ビクッとなった。 僅かに私を見上げた瞳は、昨日の愚鈍で注意力散漫なそれではなく、一言一句を咀嚼しなければという、以前とは違う何かが宿っていた。 それを集中力というべきか、強迫観念というべきか、プラスなのかマイナスなのかは脇に置こう。

 C棟に続く渡り廊下で、私が担任する生徒の集団とすれ違った。 紐状の登校服で尻から胸まで強調し、あとは靴下と上履きのみという姿の集団。 小走りになって私より先に教室へ入ろうとする背中を眺めながら、廊下を走ってはならない旨も伝えなければなどと思いつつ、私が教室に着いたのは8時15分だった。 既に30番を除いた34名が座席に腰を下ろしていた。 膝を閉じ、背筋をピンと伸ばし、揃ってまっすぐ教壇を凝視している。

 30番からリードをほどく。 黙って顎で空席を示せば、30番はコクンと首肯して席にむかった。 昨日の彼女であれば『どういうことですか?』とでも間抜けに訊き返したかもしれないと考えると、小さいけれど大きい進歩だ。 教室の面々も30番に気づいているだろうが、表立って反応はしない。 あくまで注視すべきが私であることは、昨日で学習したらしい。

 教壇に立つ。 2号の教室、私の教室。 8時25分のチャイム開始に備え、教室を眺める。 生徒にしてみれば睥睨しているように映るのだろうが、私にはそこまでの余裕はない。 多少目に隅があったり、肌に腫れが残っている生徒がいること確認するうちに、チャイムが鳴った。

「それでは朝のHR(ホームルーム)を始めましょう。 これから毎朝つづくHR、この時間は学園生活の要になる大切な時間です。 いまのおまえたちのように、全員席についておくように。 25分に席につくことは当然として、5分前には着席することが基本です。 HRによらず、5分前行動は学園で心がけるべき筆頭ですね」

 シーン。 しわぶき1つ聞こえてこない。 『話は耳ではなく、目で聞く』と態々(わざわざ)強調せずとも、余所見する生徒は一人もいない。 これでこそ、初日に厳しく接した甲斐がある。

「背もたれにだらしなくよっかかるモノもいませんし、背筋も伸びていて、着座姿勢は概ね結構。 手を後頭部につけるというのも、それで宜しい。 ただし足と口が不十分ですね。 どうすればいいか、見本を示してもらいましょうか」

 ザッと見渡す。 僅かな瞼の動きで、考えていることは大体わかる。 目を逸らしてはいけないと自覚しつつ、何とか私と視線を合わせまいとする生徒。 一方では、一瞬にしても堂々と私と見つめある生徒。 どちらが見本に相応しいか問うまでもない。

「22番。 より正しくお座りなさい」

「ハイ! インチツの奥で理解します!」

 昨日教えた『私の教室独自の挨拶』……個人的に『チツマンコ』という表現は露骨に下品で好きではない。 『淫らな膣』でも『陰の膣』でもどちらでもいいのだが、婉曲かつ下品な方が好みなので、せめて私に返事をするときは『インチツの奥』や『インケツの皺』などの単語を絡めるよう指導した。 ちゃんと覚えているようで何よりだ。

 サッ、パカッ。

 22番が腰かけたまま大きく足を左右に割った。 椅子の足より広がるように股を開き、太腿の内側を正面にもってくる。 角度にして150°ほどだろうか、割れ目のスジは閉じていられず、肌色の内臓がはしたなく覗いた。 同時に口だ。 あんぐりと広げた口は、顔全体の4分の1に届く勢いで、舌を歯にのせて上目遣いに私を見る。

「22ぶぁん、しせいをなおひまひた!」

「……足は、もう少し広げないとみっともなさが足らないわね。 口は、逆に広げ過ぎ。 それじゃ本当にただのおバカよ。 あくまでバカっぽく、はしたない程度にひらくこと」

「ふ、ふぁい。 インチツのおふでりはいしまふ」

 足がピクリとかすかに広がる。 どうやら既に限界まで広げているらしく、160°ほどでピクピクと股関節が震えていた。 理想をいえば180°の水平開脚が望ましいが、今後の柔軟トレーニングの成果をまつとしよう。 一方で口は、私がイメージする通りになった。 目の前に指をあてがえば、すぐに咥えにくるような、餌をまつ魚類を連想させる、ポカンとした口。 間の抜けた口許と、対極的に懸命な表情が相俟って、実に滑稽な顔つきができていた。



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