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調教学園物語
【調教 官能小説】

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〜 処置 〜-2

「2号教官様。 お手数ですがこちらをご覧ください」

 操作を終えた保健委員長が書類をもってきた。

「ご苦労様」

 手に取ると、講習室の日誌のコピーだ。
 パラパラめくると30番の項目があった。

「……」

 どうやら30番は正規の方法で講習をクリアしたわけではないらしい。 腹筋が人一倍弱く、あっという間に汚物に顔を浸けざるを得なくなった30番は、物凄い勢いで汚物を食し続けたという。 その結果、もともと小さい容量の胃が、僅か8時間で7割を汚物が占めるに至り、急遽消化管洗浄を決めた。 あとは夜を徹して洗浄を続けるように保健室で処置をとるべし、ということだ。

 読んで納得した。 察しが極めて悪い30番に、自力でこんな早い段階で講習を乗り切るほどの優秀さがあるかというと、ちょっとそうは思えなかったのも事実だ。 無我夢中で呼吸するべく足掻いた結果が、ドクターストップで保健室行きというわけか。 

「補号教官より、2号様の指示を再度仰げと伺っております。 一度講習を止めたため、再度講習に寄越すか、それともこれをもって教室に復帰させるか、決めていただけますでしょうか」

 直立し、微動だにしない保健委員長。

「処置は今をもって、仕上げを除いて、完了しました。 講習を再開する場合、自分が講習室に連れていきます。 もし講習を不要とし、教室に復帰させるのでしたら、ご指示の通りにいたします」

「そうですね……」

 一旦口ごもってみるも、もともと考えは決まっていた。 
 30番は教室に戻す。 講習で受けた経験を、私の教室で発露してもらう。

「講習は終了で構いません。 補号教官にはその旨伝えておくように。 30番は、あとは私が責任をもって連れていきますから、仕上げと、それから後始末をお願い」

「承知しました」

 保健委員長は深々と頭をさげると、薬品棚から数種類の小瓶をとる。 気つけ薬、栄養剤、整腸剤etc…仕上げの後に服用させる一連の錠剤を一通り並れば、20錠ほどになるだろうか。

 ぬりゅっ。

 30番の鼻にささったチューブを抜く。 鼻水と溶液、唾液と胃液が絡んだチューブは、端から端までてかっていた。 30番の瞼が微かに動く。 処置の終了を感じたのだろうか。 その感覚は、正しいと同時に間違っている。 まだ消化管洗浄における、最後の仕上げが残っている。

 保健委員長のA9番が、30番の肛門に繋がる装置を操作すると、先ほどの赤い浣腸液とは違った、緑色でゼリー状のコロイド溶液があふれ、肛門に呑まれてゆく。 このコロイド溶液は、水分が混じっても粘性が失われにくく、粘膜についた落ちにくい汚れを吸着しやすいという特徴をもつ。 赤い浣腸液がすぐに途切れた一方、緑色のコロイド溶液は途切れない。 それどころかますます勢いをまして、肛門の中に侵入する。 30番の腹部がもぞもぞと隆起し、波打ちながら膨れてゆく。 

「……」

 30番に反応はない。 消耗しきっていて、違和感を感じても身体が動かないのだ。

 仕上げ。 それは、口から肛門へと続く器官本来の流れを変え、体内の汚物を洗浄する方向を真逆、つまり『下から上』にして、残った汚れを落とそうというもの。 つまり『口から呑んで肛門から出す』のではなく『肛門から呑んで口から出す』ことだ。 大量に抽入されたコロイド溶液は、大腸の粘膜を這いめぐりながら上昇し、曲がり、うねり溢れる。 そうしてやがて大腸を満たすと、小腸の数メートルの壁にそってのぼる番だ。 絶え間なく肛門から入ってくる後続に押され、ゼリー状のコロイド溶液はやがて十二指腸に到達し、荒れた胃壁を撫でながら、食道にまで達することになる。 

 その頃には、どれだけ消耗していようと、30番は平静ではいられないだろう。 身体が内部から抉られる感覚は、痛みは乏しいとはいえ、異様さでは想像を絶する。 加えて食道が満ちて生じる嘔吐感は、理性がどうこう出来るものでは決してない。 未知の感覚に慄きながら、排泄物の残滓を含んだゼリーが込みあげるにまかせ、満杯になった胃の分量だけぶちまける。 その時点で肛門に繋がるホースで吸引し、吐きだした分以外は改めて排泄させるわけだが、つまるところ、自分が精製した大便の滓を、再度舌で味わいながら吐きだすという過程を経て、消化管洗浄は幕を閉じる。

「……」

 無言で試薬の投薬速度を上げる、落ちついた保健委員長。 
 全てに区切りをつけた後で、30番の首輪に繋ぐリードを確認する、所在無さげな私。
 何が進行しているか理解できず、膨れるお腹をピクピク震わせる、吊るされた30番。

 3者3様の沈黙の中、30番の臍を超えて試薬が進む。 かつて私も味わった、違和感で呼吸ごと押し潰される恐怖を彼女がこれから味わうと思うと、同情というべきか、罪悪感というべきか、親近感というべきか、自分でも何ともいえない感情たちが、もぞもぞ浮かんではすぐ消えていった。


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