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10days
【青春 恋愛小説】

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ゲームの行方-4

それが一番の間違いで、柚香をどれだけ傷つけてしまっていたかなんて全く知らずに・・・。


「先輩・・・。」
終業式の帰り道。改札口に入ろうとした所で、ふいに柚香から声が掛けられる。
「何?」
どうしたんだろう、と振り返る。

「今日で、10日間です。お友達との〈ゲーム〉は先輩の勝ちです。今まであり
がとうございました。」
「ゆず・・・それ・・・。」
目の前が真っ暗になった気がした。
「知ってます。・・・あたしは3千円分の価値、ありましたか?」
瞳に涙を湛えながら悲しい笑顔を見せる。
そして瞼を一瞬下げた後、くるっと踵を返し走り去った。


自分の前から走り去る柚香を追いかけたいのに足が動かない。
いや、動けなかった。
彼女を捕まえた後の自分に掛けられる言葉が安易に想像できたから。
見えてしまった結末を俺は受け止められなくてその場に立ち尽くした。


どうやって家に帰ったのかよく分からない。
明日から冬休みで柚香とは会えなくなってしまう。
このままではいけないことも分かっている。
ぐるぐると頭の中をいろいろなことが駆け巡る。
意を決して携帯を握りしめた。


「なんだよ・・・これ。」
呆然とする。
送ったメールはすぐに返ってくるし、電話をしたら機械質な声で「この電話は現在使われておりません。」とアナウンス。
嫌な汗が流れる。
そして、ふと気付く。


俺は何も知らない
柚香の家も
自宅の電話番号も・・・。


愕然とする。
どうしたらいい?
どうしたら会える?

初めてだった
こんなに一人の人に執着するのは。
初めてだった
失いたくないと思ったのは。


『はい!楽しみにしています。』


ふいに聞こえた楽しかった頃の柚香の声。
は・・・っと思い出す。
「クリスマス・・・。」
覚えているかわからないけど、いや、例え覚えていても来てくれるか・・・。
来ない確率の方が高いけど・・・。
今の俺にはそれしか柚香と繋がっているものがなかった。


「あ〜、やっぱ、寒いな・・・。」
クリスマス当日、約束した学校の石門前にいた。
「・・・時間、決めとけば良かったな。」
白い息を吐きながら、両手を擦り合わせる。


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