露わにならぬ隠し事なし-1
結局、例のビデオは時間とともに忘れられていった。あれから学年主任は同じことをしてはいないだろう。鈴音も、生徒の物に手を出すことをやめた。カメラも勿論である。ペトラとも、互いに事情が分かった間柄として、むしろ親密になった。
今のところ、クララとの関係を絶つ気持ちは鈴音になかった。夫婦のような距離が余りに自然に表れている二人を、却って誰も注意しないのだった。しかしこれもクララの親にいつかは露見するのだろうか。このまま付き合いが続き、自分のペドフィリアも緩和されないものか。そのようにして、あと五年後であれば、親に知られても構わないと鈴音は思った。